熱気の渦に包まれて ページ20
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「うるさ…」
ドンチャンドンチャン太鼓やトランペットのような音が響き、頭がガンガンする。
かっとばせーとか言ってる観客だけど、何をかっとばすわけ?
いつも思っている、素朴な疑問だ。
ヘッドホンで耳を塞いで、頬杖ついて試合観戦。
私は坂本勇人を探し、坂本勇人だけを見ていた。だってそれしかわかんないんだもん。
ピッチャーより少し後ろに居る坂本勇人。
上手いのか下手なのかはよくわからないけれど、相手が打ったボールをちゃんとキャッチしていた。
そんな坂本勇人は今、バットを構えている。
それにしても足長い。スタイルいい。
そして細い。大丈夫なのか、あれ。
あんなので打てるのだろうか。
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「お、」
観客がハヤトハヤト言ってる中、坂本勇人が思い切り振ったバットには、白いボールがピンポイントで当たっていた。
放たれたボールは、宙に放物線を描くようにしてスタンドへと入っていく。
その途端に、巨人側の歓声は油に火を入れたかのように激しく燃え上がった。
耳は相変わらずキンキンする…けど、今はそんなのどうでも良くて。
この興奮。熱気。迫力。
初めてちゃんと観戦した野球は思っていたより面白くて、私の中に深く刻み込まれた。
野球、好きになっちゃったかも。
ルールブックでも買ってこようかな。
いつの間にか試合は終わっていて、帰っていく周囲に紛れて私も帰ろうと用意していた時、ケータイが鳴り出した。
予想はしていたけど、相手は坂本勇人で。
通話ボタンをタップして、電話に出る。
「もしもし?」
〈Aちゃん?今から裏の関係者入り口来てくれへん?〉
「はいはーい…」
疲れてるからめんどくさいけど、約束していたから渋々関係者入り口へ向かうことにした。
なんだろう。お腹空いたのに。
人を掻き分け、ドームから出ると
普段バイトで出入りする裏口に行くため、ドームに沿って歩いていく。
見えてきた裏門の所には、
「お、来た来た」
坂本勇人が立っていた。
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あ - 会社の実名を出すのはどうかと思います。 (2017年9月2日 2時) (レス) id: 0ed68915c1 (このIDを非表示/違反報告)
Candy(プロフ) - ぱるるさん» 遅れて申し訳ありません(;д;) ありがとうございます♪遅くなると思いますが、必ず更新します! (2014年1月14日 9時) (レス) id: 1cf12ffc4e (このIDを非表示/違反報告)
Candy(プロフ) - メロンさん» 遅れて申し訳ありません(;ω;) ありがとうございます★暫くの間休ませていただきますが、また必ず更新しますねー! (2014年1月14日 9時) (レス) id: 1cf12ffc4e (このIDを非表示/違反報告)
ぱるる - すごく面白いですね。更新がんばって下さい (2014年1月8日 15時) (レス) id: 94e80558f3 (このIDを非表示/違反報告)
メロン - すっごく面白くてこの続きが気になります。これからも更新頑張って下さい。待ってます。 (2013年12月31日 19時) (レス) id: e6bcbb2dbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Candy | 作成日時:2013年11月20日 23時