* い ち ご み る く * 2

66。 ページ25

.




「さかもと…？」



困惑した顔で見上げてくるAを見て、
今自分が、勢いで何を言ってしまったのか理解した。


ガチで言ったったやん…


頭が真っ白で誤魔化す事もできんくて、
ただ沈黙が流れる。



どうしょ。どうすりゃええんや。


ぐるぐると激しく回る思考の中、頭がパンクしそうになるけど
やっぱり続く言葉が出てこーへん。


ほんまワケわからんくなって、風呂にでも逃げようと思ったその時、






「いーよ」






さらりと答えたAを見つめる俺は、
さぞかしマヌケな顔やろう。

開いた口が塞がらんくて、アホみたいに頭ん中がすっからかん。


そんな俺の腕を解いて、鞄の中からいちごミルク飴を取り出しくわえ始めたA。




『お前、意味わかってんの？』

「うん」

『彼氏と彼女になるっちゅーことやで？』

「知ってるよ」



俺の方を見て、小首を傾げる。

なんか実感ないけど、もう彼女なんやんな？
Aはもう、俺のものってことやんな？


…あかん。ますますこの状況あかんやろ。





「さかもと？何してるの？」

『…いや、なんも…』



ソファに伏せて、なんとか自分を保つ俺。


彼女と自分家に二人きりやで？
しかもこんなに好きなやつ！

ちょっと油断したら、本能が勝ってまう。



「さーかーもーとー。ひーまー」

『…テレビ見といて』

「やだー。飽きたー」



駄々こねて俺の肩を揺すってくるから、
ついつい振り向いてしまった。


Aの上目遣いに、脆くなっていた俺の理性は崩壊して

付き合って初めてのキスをしようと、顔を近づけていく。




「あ！ぴざ全部食べてないっ！」



俺を押しのけて机に向かってくAの後ろ姿を見ながら、ため息しか出てこやんかった。


いつもの如く、完全にみるくのペースに飲み込まれてるし
殆ど意識されてへんし。




もしかして、適当にOKしただけ？笑



.

67。You*side→←ふぁんの声

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す