【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が5人 ページ6

…ここどこ…あのさ、何かワープしたんだけど。

許可してないし…



てか、これって誘拐になるんじゃないの？

「ここね、俺たち吸血鬼が住んでる森。」


あーそーですか。

「あのぉ…出口ってどこにありますかね？」

「出口？無いよそんなの」


…嘘だ。え？もしかしてずっと帰してもらえない系？


吸血鬼さんって鬼畜なんですね(本日2回目)


じゃなくて、どうしよう。ずっとこの怖い森で暮らすのだけはやだ。

「ついてきて」

吸血鬼さんが手招きする。



誰がついて行くか。あんな酷いことしといて…

もうトラウマだよ。

「よっと…！」


さっきっから座りっぱなしだったので試しに立ち上がってみた。

あー…クラクラする…
貧血ってやつか。

取り敢えずぼーっと吸血鬼さんを見つめ、策を考えた。



早く逃げよう。また血なんて吸われたらひてたまりもない。

私は少しずつ右足を後ろにずらし、すぐにいつでも走れる体制になった。




よし、落ち着け自分。3、2、1、で走り出そう。

すー、はー、と深呼吸をするとカウントダウンを開始した。

3、2、1…いまだっ‼

地面を強く蹴り、フラつく視界の中私は二度目のBダッシュをした。

「…逃がさないよ」

耳元では居るはずもない吸血鬼さんの声。



「っ！え…な、何で…！い"っっ‼」


再び首を噛まれ血を吸われる。

あ、終わったな。


膝の力が抜け地面に倒れ込むかたちになった。

「どう……し…て…」


そこで意識は途絶えた。

吸血鬼が6人→←吸血鬼が4人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す