【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が34人 ページ36

必死に空っぽの脳内から記憶を引っ張り出し、なんとかキッチンにたどり着いた。


ちなみに数回迷いましたよ。

本当、方向音痴には厳しい館だ。



扉を両手で押し、中へ入る。

リビングやキッチンには人が一切いなく静かだった。





みんな部屋で何かやってるのかなー。まぁ、誰もいなくてラッキー。

目標の吸血鬼に襲われないは達成できそうかな。



私はルンルン気分で冷蔵庫を開いた。


「え……」


視界の中心には食材何一つのない空っぽの冷蔵庫。



ここの吸血鬼達は本当に大丈夫なのだろうか。←


てか、さっき天月は普段サラダやスープを食べてるって言ってたけど絶対ありえないよね。この状態だと。



嘘つきやがって…


…こうなると普段血以外に何を食べているのか調べないと…



うーん…と腕を組み考えていると後ろから人の気配がした。




「何してるの？」

「わぁっ‼そらるさん⁈ちょ、やめて下さい‼」

「へぇー。A耳弱いんだ〜。良いこと知っちゃった」





誰か来たと思えばいきなり耳元で囁かれた。


自分でも顔に熱が集まっているのが分かる。




今私は食材になるリンゴのような顔をしているであろう。




そらるさん…許さん…

私は赤くなった顔を隠すように下を向いた。



「あれ？怒らせちゃった？…いや、照れてるだけか」

「なんでここで照れるんですか‼は、恥ずかしかっただけですよ…」



照れ要素どこにあった今…



「はぁ…そらるさん。ここに何しに来たんですか？用事あったんですよね？」



「うん。もうそろそろご飯の時間だから狩りに行こうかなって」



んん？ちょっと待って。

聞き慣れない言葉が今聞こえたぞ…？

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