太陽 -1- (ページ1)

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001／太陽を求める国ページ1

「連れてきたのかい」

決して大きな声ではないが、部屋にビリビリと強く響く声。

空は底がないほど暗い黒に染め上げられている。明かりがついた家がぎっしりと並ぶのに、声はひとつも聞こえない。そんな不気味な国の、大きな城の中からその声は漏れる。

声を発した椅子に腰掛ける四十路頃の男性は、表情こそ薄く微笑んではいるものの、内に溢れ出しそうな怒りを伏せている。

隣に控えている使用人らしい格好をした女性は、表情をひとつも変えず、口を一才開かない。

部屋の空気はとても重い。息苦しいようにさえ感じられた。

「いえ、あの･･･まだです。ですが、見つかったのには見つかったのですが･･････」

「はっきり言うといい」

なに、殺したりはしないよ。

歯切れの悪く弱々しい声で報告をする部下に、男は言葉を続けた。

床に片膝をついてその男を見上げる部下は、身を震わせ縮こまらせながら懸命に言葉を紡いだ。

「麦わらの一味の戦闘員をしていて、･･･」

「ほお」

口を途中でつぐんだのは、椅子に座る男の表情が分かりやすく歪んだからだった。

「“我々”の太陽を、違うものが所有するか」

怒りに震えた声で呟く言葉に空気が揺れる。

男は、“太陽”の手配書をみて禍々しく広角をあげた。

ひとひとり殺せそうな視線の先にはぐしゃぐしゃになった手配書があった。

「待っていろ･･･もうじき迎えに行ってやろう」

A。

【太陽の消失篇／太陽の奪還篇】