36）理由 ページ36
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タクシーに乗り込む。
先に、私の家の住所を伝えた。
チャンミンくんは、窓の外を見たまま
右手はまだ、繋いだまま
私は、さっきからずっと考えている。
自分がチャンミンくんの歌を聞いて泣いた理由
でも、お酒も入って、泣いて疲れて
タクシーの揺れが心地良くて、
こんな時なのに睡魔が襲う。
そんな私にチャンミンくんは気付いてない。
もう、今日はとことん甘えさせてもらおう....
目を閉じるのと同時に、チャンミンくんの左肩にそっと自分の頭を寄せた。
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私が泣いた理由
あの歌声を聞いて、あの歌詞を聞いて
まっすぐに胸に響いてきて
元彼との5年間を思い出していた。
理由はわからないまま、聞かないまま
5年間に終止符を打って
もしかしたら、あの5年間は
私の言葉が足りなかったせいで....
終わったんじゃないかと......
それは、ずっと思っていたけど。
気持ちを言葉にするのには少し勇気がいる。
5年前には素直に言えてたことも
5年も経つと、言わなくてもわかる、
そんな甘えが出てきて....
愛があるから大丈夫なんて、
きっと、私のきれいごとだった。
チャンミンくんの歌声で確信した。
私にとって、あの5年間は大きくて、まだ忘れることはできないけど
でも、それを忘れそうになるくらい
この場所は温かくて、居心地がよくて....
男らしく、優しく、大きな手に握られた右手
それもぜんぜん嫌じゃなくて
もっと、もっと、その先の居心地の良さを探したくなる
何でだろう.....チャンミンくんといると....
甘えたくなってしまうのは......
5年間、感じていた恋する気持ちと
今チャンミンくんに感じているこの気持ちは
同じものなのか、まだ私にもわからない....
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「.....さん、Aさん、着きますよ。」
いつの間にか、眠ってしまっていた私を
起こしてくれたチャンミンくんが
いつものように優しく笑ってくれていて、ホッとした。
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作者名：ちゃむ | 作成日時：2020年8月29日 16時
