12）何でもメモ-cm ページ12
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「これが、今までの資料。会うまでに読んでおけば、大丈夫。」
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「こっちは、今回の提案するもの。あとで分担決めよう。」
来週の出張に向けての打ち合わせ。
今までAさんが一人で担当していたけど
その会社が急遽、拡大するらしく、それに伴い担当も二人に。
勉強も兼ねて、部長が俺を選んでくれた。
「Aさん、それは....？」
「あ、これ？これは私の何でもメモ。」
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「会食とかの何気ない話をメモしとくの。例えば、好きな食べ物とか、趣味とか。」
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「そうすると、次につながること、結構あるんだよね。」
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「ちなみに、あの会社の担当者さんは、甘党。社長も甘党。だから、いつもお土産は甘いもの。」
今回の手土産は何にしようかな〜と
楽しそうなAさん。
可愛いな、そう思った。
俺も『何でもメモ』作ってみよう。
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「それにしても、楽しみ〜！」
「何がですか？」
横から八戸くんがAさんに聞く。
「京都。実は、行くの初めてなんだ。」
「そうなんすか。修学旅行とかで行かなかったんすか？」
「うち、海外だったから。ずっと行きたかったけど、行く機会なかなかなくて。」
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「清水寺と金閣寺に行きたい！」
「ベタだな〜(笑)」
「おーい、仕事で行くの忘れんなよ。」
稲垣さんに言われて、みんなが笑った。
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京都には、一度、友だちと行ったことがある。
Aさん、初めてなんだ.....
早速、何でもメモに書く。
勉強しておこうかな。
万が一のことを考えて。
初めての出張だし、仕事だし
だけど、万が一のことを考えて。
仕事帰り、早速、本屋に立ち寄った。
手に取ったのは、京都の観光ガイド
何か、少しでもAさんが喜んでくれれば、いいけど
ふと、昨日のAさんを思い出す。
Aさんが別れたと聞いて、喜んだ自分がいた
Aさんは、苦しんでるのに。
あの時、初めて....
自分だけに、あの可愛らしい笑顔が向けられて...
つい、髪の毛触ってしまったけど....
嫌じゃなかったかな.....
出張はAさんと、二人きり
俺、大丈夫かな..........
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作者名：ちゃむ | 作成日時：2020年8月29日 16時
