《番外》SEVENTEENになるはずの紅一点 (ページ32)

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「その、大変お節介かもしれませんけど、もし何か困ってることがあれば聞きますよ。一応長いことここにいるので、何か手伝えるかもしれませんし」

どうでしょうか、と彼女がホワイトボードを見たままに言うので、この子は本当に話を聞く気があるのかわからなかった。
それでも情けない。年下の子から気を遣われるなんて。俺は2つも年上なのにさ。

「いや、別に大した話じゃないし…」
「じゃあ私が当てましょうか」
「当てる…？」
「そうですねぇ、ここから出てってやる！…とか、考えてました？」
「まあ、そう、大体、そんなところ…」

大体そんなところというか、普通に正解である。優秀な練習生というのは読心術のようなものも勉強するのだろうか。
怖い、アイドルって怖いんだ。こんなことだったら一度くらいサイン会だのなんだのに行ってみればよかった。興味ないけど。

俺の顔が引き攣ったのをみて、彼女はうんうんと頷いた。

「大体これを睨んでる人はそんなことを思ってるんですよ」
「そういうものなのか」
「そういうものなんです。ちなみに私はもう何度睨んだかわからないくらいです」

もう諦めましたけど、と乾いた笑いでそう言う姿は未来の自分を見るようだった。
諦めるなジョンハナ。お前は脱出するんだ。

「オッパはどうしてこの事務所に？」
「え、ああ、スカウトされて」
「そうじゃなくて、どうしてその話を受けたんですか？別に、来なくても良かったわけじゃないですか。断ったって、まあ追いかけてくるかもしれないですけど、殺されるわけでもないんだし」
「そうだけど…」

どうしてと言われても、深い理由があったわけではない。流されるままに来ただけだ。まさか受かるとは思っていなかった。

一応、世間的に見れば容姿は悪くないわけだし、塾に嫌気も差していたし、そろそろ将来のことを考えないといけない時期だった。ボランティアとかろくにやってないけど受験やばいかなとか、面接の練習になればいいかとか。

言ってしまえば現実逃避のようなものでもあった。