《番外》SEVENTEENになるはずの紅一点 (ページ26)

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ほらさ、『押し問答』っていう言葉があるじゃん？僕はこの喧嘩(のようなもの)は絶対その例文として載せるべきだと思うんだよね。

ヒョンはとびきり低い声で言った。

「やる気が無いなら辞めちまえと思ったよ」
「は？舐めてんのはそっちでしょ、このチームに入ってでもデビューしたいって思ってるから死ぬ気で練習してるんです！やる気がないわけないでしょ、私がここにいるのが邪魔なら出てけって言ってよ！」
「邪魔なんてひとっことも言ってねぇだろうが！辞めちまわねえように優しく指導してんのに何が不満なんだよ！」
「だから！それがムカつくって言ってるんですよ！」

後で思い出したら恥ずかしくなりそうな喧嘩だ。でもこの時だけは練習室にいた全員が固唾を飲んで見守っていた。
スタッフさんが居たら怒鳴られて終わるけど、幸か不幸か、たまたまこの時だけは居なかった。

「優しくしてほしいなんて言ってない、みんなと同じようにやってくださいよ！私はどっかの女子練習生じゃない！私はAって名前があって、今はあなたと同じチームの人間なんです！特別扱いしないで！女の子扱いしないで！」
「なっ、そっ、そんなの無理に決まってんだろ！どうしたってお前は、俺から見たら女の子なんだよ！こっちだって色々考えてんだ！」
「じゃあ特別に！一番厳しくして！ください！してくれないならもう絶対口聞かない！」

小学生のころ「もう絶交だからね！」って言って喧嘩終わらせる子居なかった？僕にはそれと一緒に見えた。

模範練習生でもあんな子供みたいな喧嘩するんだねぇ、と後にサムエリは言っていた。普通にひどい。

何だか収拾がつかなくなってきたところで、この部屋の絶対的権限を握っているスンチョリヒョンが「いい加減にしろ！」と怒鳴って二人の頭を叩いた。ドユニヒョンが一瞬で飛んでくる。

「おいお前、女の子に何やってんだ！」
「こいつが女扱いすんなって言ったんだろうが！」
「お、お前なぁ…」

項垂れるドユニヒョンの背中が小さく見えた。でも、スンチョリヒョンのおかげで一応はケンカが終わったので良かったと思う。

ヌナは叩かれた頭が痛むのかミンミンヒョンに連れられて外に出て行ったし、スニョンイヒョンはジフニヒョンに「お前が悪い」ともう一回叩かれていた。

この後事態に気づいたスタッフのヒョンが「馬鹿かお前らは！」と全員を集め、首謀者を問いただした時にヌナとヒョンがお互いを指さしたせいで説教が30分長引いた。