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「スニョンイのことだろ。俺も薄々わかってるよ」
「変ですよね、やっぱり」
「あいつの気持ちはわからなくはないけど…」
「私ってそんなに怒りづらいんでしょうか」
「…逆にさ」
オッパは私の方には目を向けず、ただ独り言を言うように呟いた。
「Aは、スニョンイに対して怒れる?」
「さあ……そもそも怒る理由がないですし」
「真面目に指導しろってキレられるかって聞いてるんだよ」
「…苦手なんです、そういうの」
心の中で思うことはあっても、それを口から出して言うことが苦手だった。
だって、言ってどうにかなる問題じゃないかもしれない。それなら私が我慢した方が早い。それで収まるならそれでいい。ことを荒立てたくない。
でも多分、こうやって全部全部心に溜めてしまうのは私の悪い癖だった。
「俺たちはこれからずっとこうして一緒に生きていくんだよ。少なくともグループが続くうちは」
「はい」
「練習でも毎日顔を合わせるし、もし仮にデビューするとしたらもっとたくさん乗り越えなきゃいけないものも増えるかもしれない。何年も一緒にいることになるのに、自分の本心を明かせないでどうするの?」
スニョンイはお前が何を考えてるか分からなくて、怒ってもいいのか悩んでるんだよ。
そう言ったオッパをチラッと見ると、彼はスニョンイオッパを見て少しだけ微笑んでいる。
2人は全く違うタイプだけど、どこか似ていてお互いを信頼しあっている節があった。
同い年だからだろうか。それとも、一緒に練習して長いからだろうか。
「Aって兄弟いたよな?」
「はい、兄と弟が」
「兄妹喧嘩だと思えばいいよ」
「…スニョンイオッパとは兄妹じゃないし」
「これから家族みたいになってくんだから大丈夫」
なにが大丈夫なのかはわからない。わからないけど、それを信じてみたかった。
さあ、勝負だクォンスニョン。
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作者名:cham | 作成日時:2022年8月21日 3時