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結局のところ、私たちの関係を変えたのは時間だった。時間があったからこそくだらないことも話せたし、ご飯を食べにいくこともできた。

これが数ヶ月後だったら話は違ったと思う。今だからこんな余裕があったのだ。本当に、この時期だったからこそ、意味のわからない状況を噛み砕いて飲みこむ余裕があったのだ。


流石にもうこの環境には慣れたけど、でもどうしても、気にくわないことがひとつ。


「そこズレてんだよ」
「カウントよく聞けっつってんだろ!」
「腕の角度合わせろよ、何見てんだ」


メンバーの中でも飛び抜けてダンスが上手いスニョンイオッパは、ダンスの練習になるとより気合を入れて厳しく接する。

上のオッパたちが入ってきてから一層キツくなったというのはミンミンから聞いた話だ。練習生として入ってくる前はそれほど経験がなかったらしいけど、ここに来てからメキメキと頭角を表し、気づけば男子練習生イチだとか、何とか。私から見ていても上手いと思う。みんなの中で指導役に選ばれる理由もわかる。

いつもはそんな印象はない。一見すれば、ちょっと抜けたところのある、お調子者の練習生。
ただそれでも、一緒に練習していればダンスに対する想いが人一倍強いことは分かる。だけど、


「あ〜それもいいんだけど、もうちょっとあの、腕を、こういう感じで」


私に対しては、全然厳しくなかった。本当に、馬鹿にしてるんじゃないかと思うほど。

なんで、と思った。私だってもうメンバーの1人じゃない。なんで私にだけそうするの?他の人たちにはちゃんと言うのに。なんで。


「何か嫌なことでもあったのか」


練習室の真ん中でスングァニとソクミニとふざけあっているスニョンイオッパを見ていたら、ウォヌオッパが私の隣に来て腰を下ろした。


「…なんでわかったんですか」
「A、自分が思ってるよりずっと顔に出やすいよ」
「そうですか…?」


イライラしてるのがわかってしまうほどだったのだろうか。眉間に指を当てて伸ばしてみたら、隣のオッパは肩を揺らして笑っていた。失礼な。顔に出てるって言ったのはオッパなのに。

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作者名:cham | 作成日時:2022年8月21日 3時

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