《番外》SEVENTEENになるはずの紅一点 (ページ17)

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弟、と一緒に練習してみる話ページ17

Dino side

休憩の声がかかっても、1人だけ絶対に練習をやめない人がいた。
Aヌナだ。

1週間後のゲリラ放送を皮切りにスタートするSEVENTEEN TVのシーズン2からの合流が決まってからひと月の間、ヌナは週4回はこちらの練習に入って、あとの3回は自主練習をしているらしい。

奥の1番小さい練習室は、ヌナがこちらにいない日はずっと明かりがついている。学校のない日は朝から晩まで電気が消えてるところは見たことがない。
まるで練習に取り憑かれたみたいだった。

すごい人だと思った。
初めてこっちに来た日にあんなに緊張していた人とは思えないくらい、ダンスをしている時の表情は豊かで、表現力もあって、生き生きとしていた。
しなやかで滑らかで指先まで神経を集中させていて、スニョンイヒョンとも僕とも違うスタイルのダンスを踊るあの人はすごくかっこよかった。

でも同時に、もったいないとも思った。練習量は人一倍あるのに、僕たちの中に入ると線の細さがわかってしまう。ヌナがもつその滑らかさやしなやかさが悪い意味で目立つ。

もう少し、もう少し変えたらきっと馴染むのに。

ヌナ自身もそれに気がついていて、それをなんとかしようとしてこんなに練習しているんだ。
この頃はやっとチームとしてコミュニケーションがとれるようになってきたけど、ヌナはいつも練習が終わるとすぐにあの練習室に行ってしまう。

わかるよ、僕だってわかる。
いくらデビューの一歩手前だとしても、性別も、練習した時間も違う人たちといきなり一緒にやれと言われたって。できないよ、そんなの、上手くいくわけがない。

もし僕が突然「今日から女子チームに君1人が参加します、もしかするとデビューするかもしれませんし、しないかもしれません。保証？あるわけ無いでしょう、ハハ」と言われたら？
なんだそれって思うよ。
だって、僕は男子練習生として準備をしてて、ボーイズグループとしてデビューすることを目標にしているんだよ。

それなのに！
いきなり道を閉ざされて、性別も全く別の、今まで練習したこともない人たちと一緒にデビューしろって？
ふざけてるよ、僕だったら耐えられない。