SEVENTEENの紅一点 3 (ページ47)

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この撮影のことをわたしは決して弟に話していないはずなのに、今度ヒョンたち日本に来るんでしょ？と数日前にメッセージが来て、なんだかよくわからないまま今日に至る。

多分ジョンハニオッパが言ったんだと思う。なぜあの2人が連絡を取り合っているのかは永遠に謎のままだ。
しかも、開校記念日に被ったという理由付きで撮影まで見に行ったらしい。迷惑をかけていなければいいけど。

［変なことしてない？大丈夫？］

［何にも］
［頼まれてた分の通訳もしたよ］
［お礼ってアイスもらった］

高校生になりたての子で大丈夫だったでしょうか監督、何もありませんでしたか監督、と心配だけが降り積もる。

人生のほぼすべての時間を日本で過ごしている弟の韓国語力は如何程なのだろうか。
わたしの日本語リハビリのために2人での会話は日本語だから、あまりよくわかっていない。

それよりも、心配事がひとつ。

［撮られてない？］

ひた隠しにしている弟の写真を撮られていないか、だ。

［言われてた通りマスクもしてたしキャップも被ってたから］
［撮られてたとしてもわかんないよ］
［多分］

兄もわたしも芸能人として生活している分、家族に好奇の目が向けられることはわかっていた。

それでも何とか弟のことは巻き込まないように、ただの田舎の高校生でいられるようにと、弟の名前はおろか存在すら公言していない。

日本にいるからといって何も安心できないと思うのはただの考えすぎなのだろうか。
でもわたしのせいで彼の人生を変えてしまうのは嫌なのだ。とにかく平穏でいてくれますように、と願わずにはいられない。

［この間のライブで会えたけど］
［今度はAも帰ってきてね］

そんな可愛いメッセージが飛んできて、思わず声が漏れた。反抗期なんて永遠に来なければいいのに。

［考えとく］

そう打ち込んで、アプリを閉じた。
今年の秋夕に帰るのは無理だけど、来年こそは、と考えながら。