SEVENTEENの紅一点 3 (ページ40)

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もしもし？と言うと、戸惑っているような声。

『あっえっと……A…ヌナですか…？』

あれ、向こう韓国語なんですけど。というか、ヌナって。ヌナ？？？？

「申し訳ないんですけど、どなたですか？」
『えっ！？』

えっ、という向こうの大きい声が漏れて聞こえたんだろう。

目の前にいたオッパはのけぞって笑った後にわたしの耳元にあった電話を取って、スピーカーモードにする。

「自己紹介くらいしなよ、いきなりヌナなんて呼ぶと思わなかった」
『えっジュンフェイが言ってくれたんじゃないの！？僕言ってくれてるものだと思って軽々しく呼んじゃって……！』

わたしが知ってる中国人の子で、広東の人で、わたしより年下で、韓国語がうまくて……

「もしかして、NCTの」
『そうです、DREAMのロンジュンです。すみません馴れ馴れしく呼んじゃって…』

ミョンホとジュニオッパと仲がいい子だ、と頭の中で繋がった。
たしかに楽屋で挨拶したことがあったし、多分少しは話したこともある。

随分と鎖国的なグループに所属している子たちだ。確か中国人の子はもう1人いた。

せっかくなら中国語で話そう。

「ええと、いつもジュンフェイとミンハオがお世話になってます」
『あっ、こちらこそ…』
「今時間大丈夫ですか？ジュンフェイの電話長いでしょう」
『はい、あの、大丈夫です。僕からかけたので…』

わたしたちのとてつもなくぎこちない会話を聞きながら、オッパはさも楽しそうに肩を揺らしている。

「なんでそんなにぎこちないの。おれと話すときはそんな風じゃないのに」
『だってまさかAさんと話すことになるなんて思ってなかったから！』
「わたしと話したくなかったですか…？」
『あっいえ、そういうことじゃなくて…！』

ええと、うーんと、と言葉を選んでから、遠慮がちに、

『いつもジュンフェイやミンハオさんが楽しそうにAさんのこと話すので、いつかちゃんとお話ししてみたいとは思ってたんです』
「え、わたしの話なんかするんですか？聞いてないんだけどジュンフェイ？」
「変なことは言ってないよ、多分」
「多分ってなに、っていうか変なことってなに」
「おれが言ってなくてもミンハオは言ってるかも」
「ミンハオは言わないもん…多分」
「多分ってなんだよ」

母国語を話すときは余裕そうなのが、こういう時だけはちょっとムカつく。
慣れたとはいえどやはり母国語話者よりは格段に劣るわたしの中国語では太刀打ちができない。