SEVENTEENの紅一点 3 (ページ26)

今日:30 hit、昨日:5 hit、合計:236,717 hit

. ページ26

「Aもトレーニングしに？」
「うん、今日空港出るまでにジム行けなかったし」
「ヌナはいつからそんなウジヒョンみたいなことを…」
「あのオッパと一緒に引っ張られて行ってたらこうなっちゃったの」

本人はあっちで死んでるけど、とAが指差した先ではホシヒョンがチェストプレスに寄りかかって上を向いていた。
放心状態のヒョンだけど、その大胸筋はさぞ大喜びだろう。

「これからプランクやるけど」
「わたしもやる」

最初はなんてことないのに、30秒を超えたくらいから徐々にキツくなってくる。3回目を終えた頃にはさっきまでの平穏が嘘だったかのように力が抜けた。

「ヒョン…お疲れ様…」
「やり切ったよ俺たち…」
「ああそっか…2人とももうこれで終わりなの…」
「ヌナ、あと何をするつもりでここに…？」
「一応筋トレして…そのあと30分くらい走ろうかなと思ってたんだけど」

だけど、と彼女はマットに寝そべったまま眉間にシワを寄せた。

「2人と一緒に帰ってしまえって悪魔が囁いてくる」
「ヌナが負けそうだ」
「踊ってるだけで筋肉がつけばいいのにね」
「ドギョミヒョンは筋肉ある方じゃん！」
「そうだよ」

ソクミニはずるいや。

ついでにジュニオッパもチャニもずるい、とふてくされたように頬杖をついた彼女が妙に可愛くて、犬を触るみたいにわしゃわしゃと髪をかき混ぜた。
そうするとちょっとだけ眉の端がさがって嬉しそうな顔をされてしまうから困る。

ずるいのは君だよ、A。

「俺もスングァニもAもみんな同じ人間だし、俺だって揺らぐ時もくれば太る時もくるし」
「そうだけど」
「意地と忍耐で頑張るようなもんじゃん」
「おおヒョン、かっこいい」
「たしかに、昨日の自分には負けたくないもんね」
「そう、全ては未来の俺自身のために」
「未来の僕のために」
「未来のわたしのために」

そう言い聞かせて今日もまた前に進むのだ。トレーニングという険しい道をかき分けて。
途中であらわれる欲望たちに揺らぐ気持ちにも耐え、スケジュールの合間を縫って、進んでいく。

まあたまに、負けちゃう時もあるけれど。

でもそういうときは隣にいる誰かがきっと力になるから、だから今日は俺がAの力になる番、でしょ？

「ランニング、お付き合いしましょうか？」

そう言って手を差し出せば、もちろん、と言って彼女は俺の手を取った。