SEVENTEENの紅一点 3 (ページ22)

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あとで連絡しなくちゃ、と言って彼女は手の中の箱を閉めた。
　

「お前は？また実家帰らなかったのか」
「東京からは遠すぎるからね」
「ホッカイドー、そんなに遠いっけ」
「東京からだと、うーん…ソウルからチェジュに行くよりもかかるよ」

忙しく生きている彼女は、秋夕でも帰国せず宿舎にいることが多い。
日本の実家に帰るのはせいぜい2年に一度くらいか。

祖国で仕事があったとしても、詰め込まれたスケジュールの中で帰れることはほとんどない。日本にいる彼女の弟から『ヌナに帰ってこいって言ってください』と言伝を頼まれるほどだ。
このままいけば、今年の秋夕もまた頼まれるに違いない。

彼女は日本人で、祖国は日本で、韓国には『帰る』のではなく『来る』が正しいのだろうけど。

シュアにもジュニにもミョンホにも当てはまることだけど、一緒に暮らしているとつい、当たり前に韓国に『帰ってきて』『戻ってくる』のだと思ってしまう。

半分は正解で、半分はただの願望。
まあでも、俺たちのところに帰ってくる、という意味では正解か。

「A」
「うん？」
「おかえり」

彼女はいまさら？とでも言いたげな顔で、ただいまと言った。

寝起きの頭で難しいことは考えられないから、今はこれで。俺たちのところに、おかえり、A。