SEVENTEENの紅一点 3 (ページ21)

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眩しさに目を慣れさせてから身体を起こす。
彼女は持っていたキャリーとボストンバッグを床に置いた。

「遅かったな、帰ってくるの」
「…？着いた時連絡したっけ？」
「金浦の、SNSで見た」
「ああなるほど」

日本での仕事のため帰国していた彼女が今日韓国に帰ってくることはスケジュールで知らされていた。
Aのファンが空港に行って撮った写真をたまたま見て、戻ってくる頃合いを見計らってこの部屋に来ていたのに。

あれから3時間近く経っている。まっすぐ帰ってきたわけでは無いんだろう。

「事務所に行ってたの、あと作業室にも」
「ふうん」
「わたしを待ってたんですか？」
「そうだよ。お前を待ってたのに全然帰ってこないから、眠りの世界の神様に連れて行かれちゃった」
「それは大変」

このところあまり眠れていなかったせいか、うっかり横になったら意識が途切れてしまったのだ。

眠るまでかまっていたはずのスマホはソファーの下に落ちていた。

今日は単に眠りに来たわけではなく、ちゃんとした用事があってこの部屋に来たというのに。
ちゃんと渡してね、と言われていたそれを手に取ってAに渡す。

「はい、これ」
「わたし何か頼んでましたっけ」
「あいつからだよ、この間俺が実家帰ったって言っただろ」
「本当に買ってくれたんだ…いいって言ったのに、変なところで律儀なんだから」

荷物を取りに実家に帰ったときに、妹からAに渡してくれと頼まれた箱の中身が何なのかは知らない。

包装紙を丁寧に剥ぎ取った○○の手元を覗き込むと、箱の中には彼女がよく使っているハンドクリームの色違い。

「店舗限定だったんだけど、忙しくて買いに行けなさそうって話をしちゃったんだよね」
「お前ら相変わらず仲良いよな」
「お友達だからね」
「お友達」
「そう、だからわたしのファンにはなってくれないんだって。今はソクミニのファンだって言ってた」
「それは聞いた」

知らないところで知らないうちに仲良くなっていた彼女たちは、外で会ったりということはあまり無いが、それでもよく連絡を取っているらしかった。

不思議なものだ。俺が知らないAの話が妹の口から出てくることもある。お気に入りを取られたみたいな気分になるのはなんとなく悔しいけど。
ただ、なんとなく。