SEVENTEENの紅一点 3 (ページ3)

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スングァンとレコーディングの話ページ3

Seungkwan side

朝イチで行ったピラティスを終えて宿舎にいると、僕たちの部屋のドアをトントンとノックする音が。

開けてください、とベッドから声をかけるとヌナがひょこっと顔を覗かせた。

ドアの隙間から顔を出したまま部屋の中をぐるっと見渡してから、僕にもう一度視線を投げる。

「スングァナ、今1人なの？」
「ヒョンもチャニも今はいないですけど…」
「そう」

僕の答えを聞いたヌナはサッと身体を滑り込ませてドアを閉めた。
一体なんだというんだろう。

作業をしていたのか、メガネにマスクにお団子ヘアーというなんともラフな……ラフという言葉でまとめるには少々おこがましいような出で立ちだ。
かく言う僕もピラティスで帰ってきたままのジャージ姿なのでおあいこだけど。

ここ数日、ヌナは作業室と自室と練習室の行き来しかしていないらしい。下の宿舎に降りてきている姿を見るのは久しぶりだ。

入ったきり口を開かなかったヌナを不思議に思っていると、スングァナ、と名前を呼ばれた。

「ねえ、口堅い？」
「ヌナに言うなと言われれば開きませんけど…」
「今から時間ある？」
「練習までは暇です」

じゃあ最後に、とヌナは僕の目の前にパッと楽譜を出した。

「あと4時間でこれ歌えるようになる？」
「やります」

ほとんどメインボーカルとしての反射神経で口から出た僕の答えを聞くと、じゃあ4時間後に作業室集合で、と言い残してヌナは部屋を出て行った。

一体どういうことだろう…と渡された楽譜を見ると、なかなかキーが高い。男性が歌うとは思えないんですけど…？
一緒に渡されたレコーダーを再生してみても、残念ながら誰の声も入っておらず曲だけが流れ始める。

これは、僕たちのための曲なんだろうか。

でもこれはヌナが作った曲だということは確実だ。歌詞カードとは別に渡された楽譜のちょっと癖のある形の音符の羅列と所々の走り書きはヌナの字だから。

またこれも、今まで何度も送り出されてきたヌナの曲の仲間入りをしてしまうのだろうか。僕たちが歌うことは許されなかった曲たちの。

『丁寧に、楽譜通りに』という部分が赤ペンで二重丸されているのが少し妙だったけど、とにかく4時間でなんとかモノにしてヌナの作業室の扉を開けた。