いつかのカムバステージ直前 ページ2
「A、次お前がメイクだって」
暇つぶしにスマホを弄っていたら、大きな掌が何度か視界に映った。そのままミンギュは私が座っていたソファーにどかりと座り、お前のメイク終わったら起こして、とだけ言って眠り始めた。
デビューから何度目かのカムバック初日。
これまで数え切れないくらいステージに立ってきたけど、初日だけはどうしても緊張してしまう。
自分の立ち位置は他の誰よりも危うく、脆い。おそらくこんなアイドルは今までいなかったし、これからも生まれることはないだろう。
初日のステージに自分も立てるとわかると、ひどく安心する。この気持ちは多分誰からも理解されないだろうけど。
メイクのオンニの手によってどんどんアイドルとしての「A」になっていく様子はいつ見ても不思議だ。自分でこんなふうに綺麗にメイクできないし、気合の入り方が違う。
男たちに混じっていてもおかしくないように他のヨジャアイドルたちと比べれば随分と薄いメイクだけど、実はこの薄く見えるメイクが1番大変なのよ、といつだったかオンニが言っていたのを聞いたことがある。
昼夜問わず仕事をしているせいで私の肌はボロボロなのだが、この人たちの手にかかれば陶器のような肌になれるからありがたい。
はい、完成。ぼーっとしていれば肩を叩かれ、メイクとヘアセットが終わったことに気づいた。そうだ、キムミンギュを起こさなければ。
「ミンギュ、終わったよ。起きなきゃ」
「ん…」
肩を揺すれば反応こそ返ってくるが、一向に起きる気配はない。まあ昨晩も何度も最終確認をしていたし、カムバステージ前は夜眠れない子もいるから日中眠気に襲われるのはしょうがない気もする。
現に私も少し眠い。
「寝るんだったらあとでミンギュと一緒に起こしてあげるよ」
向かいのソファーでアメリカーノを飲んでいたシュアオッパにあくびしているのを見られた。オッパはちょっと眉毛を下げてそう声をかけてくれた。
「じゃあ10分だけ…」
「うん、おやすみ」
ミンギュの肩に頭を預け、目を閉じればゆっくりと周りの音が消えていく。
本番まであと、一時間。
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cham(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます。安心しました。楽しんで読んでいただけたら幸いです。 (2021年2月12日 23時) (
レス) id: ed95449b0c (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ(プロフ) - chamさん» 全然大丈夫ですよ！wwこういうのでなかなか自分の誕生日出てきませんよねww自分が推してるグループにまさか自分の誕生日が出てくるの初めてなのでちょっとびっくりしただけですよ！！なので全然気にしないでください！！ (2021年2月12日 22時) (レス) id: 60a403a386 (このIDを非表示/違反報告)
cham(プロフ) - ヒカリさん» ご気分悪くさせてしまっていたらすみません。 (2021年2月12日 19時) (レス) id: ed95449b0c (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ(プロフ) - 自分の誕生日と一緒でビビりましたww (2021年2月12日 17時) (レス) id: 60a403a386 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cham | 作成日時：2021年1月30日 21時
