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占い師の孫『第一話 オババ』(匿名希望) ページ12

 まず初めに、私の多大なるわがままを快く聞き入れて下さった、企画主催者さまに謝意を。
 そして、この随筆の執筆に許可をくれた友の友情に感謝を、私たちに様々な知恵を授けてくれた祖母に哀悼の意を捧げます。


 その昔、私の祖母は占い師であったそうだ。
 それも地元で有名だとか、わりと当たるとかそんなレベルの占い師ではなく。
 当時……第一次オカルトブームと呼ばれる時代にテレビが取材に訪れ、観光バスに乗って、遠方から客が押し寄せるような、そんな有名占い師であったらしい。

 らしいという物言いに関しては、私はその当時に生まれてすらいないため、人々が我が家の祖母に熱狂したという事実に、これっぽっちも実感を抱くことが出来ないからだ。
 物心ついた頃には、祖母は引退して普通のオババになっていたし、家は広くとも昔ながらの日本家屋で、非常にボロだった。
 辛うじて窺い知れる当時の痕跡といえば、顔も名前も見たことのない有名人と祖母が並ぶ写真と、近所の爺婆が、私のことをやけに敬っている程度なのである。

 オババは私にとって、本当に普通のオババだった。
 例えば、私に占いの仕方を教えたり、跡継ぎだからと厳しくされることも一切ない。
 日がな一日、猫の豆大福を膝に乗せて日向ぼっこをしているような、穏やかな人だった。

 そんなオババが占い師であったことを母から聞いた私は、好奇心から様々なことをオババに聞いた。
 どんな占いをしていたのか? 占いの結果が、どんな形でオババの目に見えるのか?
 占いをしていて、何か事件が起こったことはあるか?

 まるでおとぎ話をせがむ子どものように昔話を聞きたがる私に、オババはいろいろな話をしてくれた。
 今回は、その中でも特に印象に残った話を紹介しようと思う。

 全盛期。オババは毎日朝から晩まで、何十人という人間を占っていたそうだ。
 占うと言っても、占星術だとか易占だとか、生年月日を元に運勢を導き出すとか、そういう一般的に思い浮かべる占いをしていたわけではない。
 オババは、向かい合って座った客の顔を見るだけで、その客の未来を知ることが出来たのだという。

 

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キャンディー(プロフ) - ついに待望の創刊号刊行ですね!待っていました!自分の書いた物語を世の皆さんに見てもらえるのはなんだか恥ずかしいような気もします。できれば各作者様のURL?みたいなのを貼ってくださると助かります! (2021年5月3日 13時) (レス) id: a896d747de (このIDを非表示/違反報告)

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作者ホームページ:なし  作成日時:2021年4月29日 10時

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