21 ページ21
宮近side
小さい頃から俺は臆病な子だった。
人前に立つのは苦手だし、人見知りも激しかった。
それでも、兄たちに、
「男は舐められたら終わりだ」
なんて言われたから、幼稚園生ながら髪を金に染めて、明るい子を装った。
でも逆にそのせいで同級生からは怖がられ、先輩からは虐められた。
人と話せない金髪の幼稚園生は目をつけられてもおかしくなかったと我ながら思う。
そんな時、相手が男だろうと先輩だろうと助けてくれたのが、ショートカットの女の子だった。
男勝りな性格で、ひよこ組のバッチをつけているのが、なんかおかしかった。
その子は俺が泣いているのを見つければすぐ飛んできて、
「海斗を虐めるな！このばか！」
と幼い頃から持ち合わせた口の悪さで、いじめっ子を追い払ってくれた。
そして決まって、俺の頭を優しく撫でてくれた。
『ふふ笑。泥だらけだね笑』
宮近「………」
その子とは腐れ縁で……
いや、俺が望んで小学校、中学校、高校と同じ学校になった。
中学時代俺は思春期真っ只中で荒れていたが、幸いにもその子が真面目なのに馬鹿だったお陰で、同じ高校に進学できた。
そんな俺は一途に何年も片思いしている。
ただ、彼女があまり友達を作らなかったことや、何年も同じ学校にいれた安心感から、俺は彼女に思いを伝えるタイミングをすっかり失っていた。
というより、怖かった。
今の関係を壊しそうで。
おかげで、鈍感で馬鹿な彼女は俺の恋心に一切気付いていない。
俺のことを男として見てるかも危うい。
腹立つ。
そんな中現れたのが元太だった。
あいつに紹介してと言われた時、嫌な予感がしたけど、悪いやつじゃないし受け入れた。
まっっっじでやめときゃよかった。
多分元太は一目惚れだったんだと思う。
でも、そこから中身を知るにつれて、どんどん俺と同じ熱い目を彼女に向けていくのが分かった。
焦った。
俺の場所。
あいつの隣は俺だけ。
誰にも取られたくない。
俺がこんな感情を持ってるなんて、俺が1番驚いた。
でも今のままじゃダメだって、とりあえず思いついたのが例え話だった。
我ながら安易だと思う。
臆病な俺の、臆病な嘘。
でも俺は、必死になるくらい、
Aが好きだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羊(プロフ) - モモイロさん» コメントありがとうございます！凄くモチベーションに繋がりました。今後もよろしくお願いします！ (1月13日 20時) (
レス) id: 03a6393e6e (このIDを非表示/違反報告)
モモイロ(プロフ) - 最近の楽しみのひとつです！更新頑張ってください〜！応援してます！ (1月13日 4時) (レス) @page19 id: 95282d6fb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羊 | 作成日時：2024年1月8日 23時
