墜落JKと廃人教師【清水潔子】 (ページ10)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:7,923 hit

. ページ10

屋上に取り残された灰仁(廃人)こと灰葉仁は、閉められた扉を暫く見ていた。

「･････････」

思考がフリーズしているのである。やっとのこと動き出したのはそれから数十秒後のこと。

『誰がニコチン男爵だ、言いたい放題言いやがってJK共･･･俺そんなタバコ臭い？ 1日2箱ぐらい普通じゃね？』

「･･･そういや･･･んなこと言ったっけ･･･」

正直話しかける(彼女の自殺を止める)のに必死で内容なんてあんま覚えていない。けど、

『先生のタバコの匂い。私は案外嫌いじゃないですよ』

･･･澄まし顔で言いやがって。ちくしょう、カッコイイなあいつ。

「･･･それじゃ、禁煙はまた今度にするか」

伸びた前髪を掻き上げると、端正な顔立ちが現れる。赤みがさした頬が露わになり、目元も和らぎ、口許は僅かに緩められている。

『先生のタバコの匂い。私は案外嫌いじゃないですよ』

脳内再生を繰り返して、ニヤニヤと余韻に浸った。