💫ㅤ幾年 ページ27
ㅤ
「Aー、置いてくぞ」
「待っていっちゃん！…あれ、まもちゃんは？」
ローファーを履き、爪先を鳴らしながら七汐が玄関を飛び出る。
ブレザー姿の風丸が肩を竦め、いつもの事だよと笑う。
「大丈夫？今日卒業式だよ？」
顔を顰める七汐に風丸は溜息を着いた。
「そういうお前もギリギリだからな。ほら、行くぞ」
「はぁい」
歩き出す風丸の後を追い、ホリゾンブルーの髪を波打たせ七汐はスカートのチェックを揺らす。緑の鮮やかなスカートが揺れる度に、七汐は嬉しそうに風丸へ笑いかける。
「卒業かぁ…」
「俺達が居なくても寝坊するなよ？」
「まもちゃんじゃないから大丈夫だよ」
あどけなさを残しながらも、可愛らしい印象が先行していた七汐はいつの間にか、すれ違う人が目で追うような綺麗な高校生へと成長していた。
「あ、風丸先輩！」
遠くから向日葵のような少年が大きく手を振っていた。
よく焼けた肌に向日葵のような色をした宮坂だ。雷門中陸上部を卒業し、風丸の後を追いかけてきたような熱心な生徒。
「げ、宮坂くん」
「うわ、七汐」
お互いに嫌そうな顔をした2人は、しっしと追い払うような七汐に更に顔を顰める宮坂。
この2人のやり取りも最早定番なのだ。
「おーい！風丸〜〜！！A〜！」
ブレザーを全開に白いシャツが爽やかなバンダナを着けた円堂が2人へと追い付き嬉しそうに笑う。
「おはよ！」
「間に合ってよかったねまもちゃん」
「卒業式に遅刻なんてしたら、夏未に怒られる…」
顔が青ざめる円堂に風丸が眉を下げる。
「雷門じゃなくても怒るだろう、特におばさん」
「言うなよォ、朝から母ちゃんカンカンだった」
深い溜息をつき、鞄からネクタイを取り出した円堂は首へと巻き。
並んで歩き出せば正面玄関の人集りに気付く。
女生徒の黄色い声の中心、身長の高い彼はよく目立っていた。
「豪炎寺！」
円堂が元気に手をふれば、片手を上げ。人集りを掻き分けて円堂達の元へ。
「遅かったな」
「ちょっと寝坊した」
「だろうな、雷門が探していたぞ」
やっべ、と急ぎ足で校舎へと向かう円堂を追いかける風丸、豪炎寺。
宮坂も靴箱へと向かい、七汐はふと正門を振り返る。
雷門中を卒業し、身知った顔触れの揃う高校へ進学した。
時が流れあの時の記憶が、心のアルバムの中思い出に変わった頃。
夜空を見上げる度に、手を組み祈った。
星に願った程の想いㅤ今は────────…。
ㅤ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楸(プロフ) - るふさん» フォロリク送らせていただきました！ (8月7日 23時) (
レス) id: f754f3bbe4 (このIDを非表示/違反報告)
るふ(プロフ) - 楸さん» え！よろしいのですか…！プロフに飛んでいただければTwitterリンク貼っているのでぜひ…！ (8月7日 23時) (レス) id: 8aec098e15 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - るふさん» 確認してみたところまだ復活できました!!検索では反映されないと思うので、宜しければこちらからフォローへお伺いします (8月7日 11時) (レス) id: f754f3bbe4 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - るふさん» まだまだ書きたかったシーンはあったのですがありがとうございます！占ツク用は削除してしまいまして…特に夢小説の事は一切更新されないアカウントで宜しければお伝えすることはできます！ (8月7日 11時) (レス) id: f754f3bbe4 (このIDを非表示/違反報告)
るふ(プロフ) - 返信ありがとうございます…！久しぶりに夢小説読んで泣きました(感涙)ぜひ楸さんのTwitterフォローさせて頂きたいのですがリンクから飛べず…アカウントの方は削除されておられますかね？？差し支えなければお返事いただけると幸いです！ (8月7日 1時) (レス) id: 8aec098e15 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楸 | 作成日時：2023年6月28日 0時
