「恋」っていうから「愛」に来た【鬼滅の刃】

性格。 ページ13

『ブサイクよ…そうよ、どうせおばさんみたいなんだわ』

我妻「それは違うよ！！！いや、ほんとめちゃくちゃ美人だから！！」

『あなたに言われたって嬉しくないわ…むしろ惨めなくらいよ…』

我妻「この子本当に可愛くない！！！」

うわーと泣き出しそうになる声を殺して

必死に握りこぶしを作る彼女が

流石に見るに耐えなかったのか

善逸は自分の羽織を彼女にかけて

その顔を隠してやった

ひぐ、と空気を吸うときにでる音は止むことがない

鼻をすする音が消えることもない

羽織の中で彼女は暑い暑いと思いながらも

その世界から出ることができなかった

我妻「一回化粧おとしてみようよ！」

『もう落ちてるわ』

我妻「じゃあ一回とりあえず洗うから！！」

涙声が一向に終わらなかった

すらり、と揺れる髪からのぞいた

真っ赤な耳はイチゴ飴みたいで

その顔は見ずとも酷いものなんだろうなって

善逸は分かってしまった

困った、と思いながらもほっとける人間ではない

彼女の肩を申し訳ないと思いながらも引き寄せて

そのまま近くの宿屋に行った

誤解しないでほしい。ただ、顔を洗うだけだ

我妻「…酷い顔」

『うるさい』

桶に水を張らせて持って来させる

もう大丈夫かと思い、その顔を光に当てると

涙の跡がきらりと日差しに乱反射して

つらくて歪んだ顔にはシワがあって

お世辞にも可愛いとは言えなかった

そしてところどころ化粧が落ちているものだから…

これは惚れないなと思った善逸は

嫌がる彼女もそっちのけで

顔に濡れたタオルを押し付けるのである

『やめなさい、私は嫌なの…化粧を落としたくないの』

我妻「いやもう落ちきってるから！」

『あんたなんて大嫌い。炭治郎だったら良かったのに』

我妻「はいはい、すみませんねぇ」

いやだ、と駄々をこねる姿は

やっぱりワガママ娘らしかったけれど

弱々しく手もあげない姿を見ると

相当、心に傷がついていることがわかった

なるべく優しく、傷つけないように。

最善の注意を払ってその頰を拭っていくと

我妻「…やっぱり君は性格が不細工なんだよ」

『なめてるの！？』

その下からは思わず息を飲むような可愛らしい顔が

ほのやかに赤らんだ頰を持っていたのだから

不覚にも顔はいいんだなと感心させられた

我妻「君は薄化粧で十分だよ。問題は性格だ」

『うるさい、私のどこが悪い』

我妻「そういうところ」

可愛くないと呟きつつ善逸は腰をあげた

奥さんの本当の課題は性格である

ありがと。→←ブサイク。

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