本気で抱きつぶされる話【鬼滅の刃】

不死川実弥の本気 ページ7

『実弥君、おかえりなさい』

不死川「…」

不死川実弥は挨拶を返さない

おはようにはその寝起きの睨みで返し

おかえりの一言には乱雑に脱ぎ捨てる靴で答える

その粗暴はあまりにもしょっぱくて

塩味が効いていて、奥さんは悲しそうに瞳を伏せた

きうぅ…とつねられたように痛むのは

奥さんが片想いをしているせい…

というわけではなかった！！

不死川「はぁ…」

『た、……ため息…』

この男、不器用中の不器用男なのである

奥さんのその大きな瞳を誰よりもあいしていて

実は常に奥さんの体を労わり

体調の良し悪しなどはすぐに把握できる

そんな旦那さんなのだが

いかんせん素直じゃないものだから

言葉選びも毎回間違えてしまって…。

今、ため息をついたのも

不器用すぎる自分に対する呆れからである

『夜も深いので布団を…』

不死川「アァ？」

実は奥さんは実弥の内面に惚れたのであって

その顔つきは大の苦手である

痛々しい傷は見ているだけで

ズキズキと痛みそうだったし

その眼差しが怖くて思わずすくんでしまう

顔だけなら冨岡義勇の方がよっぽどタイプである

でもそんな旦那さんでも

好きになってしまったのだから

奥さんは必死に猛アピールするのである

香を変えてみたり、髪型を変えてみたり

料理の特訓をしてみたり…

でも旦那さんに褒められたことはなかった

そんな奥さんはよく意見を求めるのである

どうやったら振り返って貰えるだろうか。

奥さんは奇跡の大逆転をして恋愛において勝利を収めたという

ある夫人の意見を心に刻んだ

実はその夫人は竈門炭治郎の奥さんだったりする。

"甘え上手な人は誰だってきゅんっとしますよ“

『さ！実弥くん！』

奥さんの背中をそっと勇気が押した

心臓が途端に早まって

ポロって口から転げ落ちてしまいそうだったから

必死に口を覆った

が、そうしてしまった結果

声はかなりくぐもってしまって

その甘露のような声は少ししか本領を発揮しなかった

しかしながらも頑張った奥さんには

百点満点をあげたい

『その…今夜とか………ダメですか？』

きゅーーーん

この部屋の濃度が甘く上がる

ふわふわと鼻を掠めた彼女の香りに

クラクラと頭を占領されていく実弥。

喉の奥が乾いていくような感覚に

思わず奥さんを引き寄せてしまう

不死川「風呂は後だ」

『え…』

首筋に大きく噛み付くとその分欲望が溢れた

不死川「今夜は寝れると思うな」

奥さんは旦那さんの本気を見ることになる

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