本気で抱きつぶされる話【鬼滅の刃】

？？？さんの本気 ページ18

『うるっせぇな！！ぐちぐちぐちぐち！！！テメェは女か！？』

冨岡「お前こそ女なのか？」

『うざいっ！！！』

金色の髪はこの街の中でも目立って見えた

長く伸びていうからか風に触られると

波のようにたなびく

その下から覗く目は

まるで琥珀のように美しく

お金だって払えるものだが

その粗暴な性格とキツイ口調からか

玉に傷…というか、残念というか。

所詮、今で言うところの

黙っていれば美人な残念系ヤンキーである

『いいか！？私の旦那様がお前に嫌な思いをさせられてるからな！！しかりにきてやったのに！』

冨岡「…」

『無視すんな！！！』

その目つきは優しいとは言えない

もともとすらりと伸びた背丈に似合う

威圧的な美貌の持ち主なのである

ただ突っ立っているだけで睨まれると思われ

ただ話しかけるだけで泣かれ

紳士的な男性が好きなのに、寄ってくるのは

おちゃらけた夜の香りのする男だらけ。

そんな人生だったからか

男勝りな性格になってしまった

再三言うが、黙っていれば美人なのだが。

『本当にムカつくやつだ』

ギラリと睨めば刃の輝きをもつ

義勇に引けを取らない背丈だからか

一層間近に感じた義勇でさえも

たじろいでしまう程であった

そんな彼女の旦那さんなんて務まるものじゃないな

失礼なことを悶々と考えている義勇は

優しげな瞳の奥さんを心に浮かべていた

たしかに彼女が誰かに鼻の下を伸ばしている想像が
つかなかったし

そんな顔ができるのかと思っていた

が、義勇は目からウロコの意味を体感する

伊黒「こんなところでなにをしている」

後ろから刺さる目線は蛇のようにしつこく

喉から出てくる言葉は執着の強そうな香りがした

そんな声をかけられて女が一層怒る、と

身構えていた義勇だが

『旦那様！！いえ、これはなんでもありません！』

冨岡「！？！？」

途端に可愛らしい美人へと変貌した女に戸惑いが隠せなかった

鋭い目つきも甘く溶けており

ドスの効いた声も蜂蜜のように甘く誘惑的なものに変わる

いくらか明るくなった顔に

思わず胸を撃ち抜かれた男も多いようで

あたり一帯の空気が甘くなった

伊黒「そいつは冨岡だぞ」

『存じております！』

まるで大型犬みたいだと義勇が思う側で

心底楽しくなさそうに顔を歪めた旦那さんが

伊黒「いいから帰るぞ」

と静かに言うものだから

奥さんはきゅんきゅーんと胸を高鳴らせるのだ

家でどんなことをされるか、なんて想像もしないで。

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