錆兎の本気 ページ13
例えばそうだな
今まで友達だから許された関係が
崩されかけてしまうとしたら？
そんなことを他愛もない戯言なんぞ
狂言なんぞに思えるほどに
腐る程見てきた花がその瞳をもってこう告げた
『明日は忙しいの。お医者様に見てもらわなくてはならなくて』
錆兎「……そうか」
嘘をつくのが似合う残忍な女である
明日、面会したいという男の
健気でささやかな恋慕にいち早く気がついて
見限るほどには人間味を捨てていた
美しく優しげな微笑みの下には
心底、興ざめしたような心が隠れているのだろう
医者に診てもらうなんて嘘である
お得意様に買われたのだ
花魁の名を持つものとして無下にするわけにはいかない
『もうあの錆兎さんとも終わりね』
「えぇ！？もったいない！いい男なのに！」
彼女のその美しさは揺らめく椿のようである
展覧豪華なその衣に包まれて
男を誘い、骨の髄まで染み込ませるのだ
彼女は暴かれ、錆兎の恋は無下にも破かれるのだ
可哀想だわ、と他人事のように呟きつつ
部屋に入ろうとした瞬間。
錆兎「……なんでここにいるんだ？A花魁」
『……は』
襖に大きな影がかかり
自分の姿を覆い尽くしてしまった
暖かな、と感じるには生ぬるい
激情に燃えた熾烈な炎である
青筋が浮かんでいる。そんな顔を見れなくて
閉じ込められるようにして壁に追いやられた状況が理解できなくて。
首筋にかかる吐息は
噛みちぎらんとばかりの恋心を表している
怒っている。それはもう。大層酷く。
錆兎「ここに医者はいないだろう」
『……あ、の』
背中にかぶさっている錆兎が
恐ろしく冷たいドスの効いた声で
彼女の耳に言葉をかけた
体を支配されそうになる
それほど錆兎の欲は深かった
冷や汗が思わず流れる
錆兎「嘘をついたのか」
本当は客を相手にするつもりだったんだろ
薄情なやつだ
『……出禁にするわよ。私は仕事でやってるの。いいから離しなさい』
臆しても悟られないように
冷たい言葉で錆兎を突き放す彼女
すると錆兎は口元を緩めた
錆兎「客のあいて、か」
『えぇ、なんと言おうとも変えません』
錆兎「なら」
してもらおうか。
襖が開かれ勢いで押し倒される
その獣のような瞳はやっぱり怖かった
錆兎「今日、お前を買ったのは俺だ。嘘をつくとわかっていたからな」
『は』
錆兎「最初に言っておくが俺はとても怒っている」
優しくする気などないからな。
抱き潰すなんて優しさはない
抱き殺してやる
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琴音 - めっちゃくっちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年3月5日 16時) (
レス) @page1 id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 初めまして！すごく小説おもしろいです！！｢河原撫子｣このお話すごく切ないです、、うるうるしてしまいました、 (2021年9月29日 18時) (レス) @page28 id: 5d7155b87a (このIDを非表示/違反報告)
ピクルス（花霞） - 有一郎ぉ… (2020年9月18日 20時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
さとり - こんにちはです！リクエストなんですが…宇髄の弟お願いします！いつも楽しみにしてもらってます！ (2020年4月14日 9時) (レス) id: 3436782285 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 竈門夫婦ももちろんですが、不死川夫婦の出会いからの続きも気になりすぎます…っ(o>ω<o) 本気で大好きです！！これからも応援しております(*´ω｀*) (2019年12月15日 1時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきぽん
| 作成日時：2019年10月4日 13時
