本気で抱きつぶされる話【鬼滅の刃】

竈門炭治郎の本気 ページ1

『さ…最近、全然ない気がするわ』

まだ明るい春のことである

庭には運ばれてきた桜の花が舞い

まるで絵の具を撒いたようで

その片付けは新婚さんである奥さんには苦である

苦手な家事を頑張るためか

お皿を割ってはすぐに街へ走りに行く

そんな毎日を繰り返す夫婦

それでもそれが幸せの形であるが

奥さんには最近、大きな悩みがある

『炭治郎様…明日は二人揃っておやすみですよ？』

竈門「そうか、なら買い物にでも行こう」

『は…はい』

そうじゃないよ！！

と、その顔が言いたげである

必ず二人が休みのときは

夜、一緒に寝る

炭治郎は休みが少ない職業だ

いつ死ぬかもわからない

そんな旦那さんの体温を感じたくて

つい奥さんも羽目を外す

というか、奥さん

実は炭治郎に昔、とても嫌われていた

塩対応の中の塩対応である

その為か炭治郎に甘やかされるのに慣れていない

甘やかされたいという欲は沢山あるものの

なんだかまた冷たくされる気がして

本心が出せなくて…。

だから素直に抱いて下さいの一言も言えない

昔は相当なワガママ娘だった彼女

人一倍我慢することに慣れていないのに

炭治郎の為に必死に我慢するから

またその姿が大変いじらしく感じる

何か、我慢している香りがする

焦げたりんご飴みたいな香りに炭治郎は

奥さんが我慢していることに気づいた

顔を見てみれば必死に口を噛んで

頰を赤くしている

我慢している時の顔は一層幼くて

実は炭治郎はこの時の顔がとても可愛らしくて好きなのだ

竈門「我慢してるのか？」

『が、がまん…！？』

竈門「図星だな」

考えていることは筒抜けなのだ

奥さんは驚いて瞳を大きくさせたが

すぐに下を向いた

ちょっとだけ、聞いてみてもいいかな

少しぐらいワガママいってもいいかな

『な、なんで最近…抱いてくれないんですか』

竈門「！？」

これには炭治郎も赤面せざるを得ない

その姿は組み敷きたくなる

『私では気持ちよく…』

竈門「はぁぁぁ…違うぞ」

『じゃあ！』

竈門「この前抱いた時、歯止めが効かなくて泣かせてしまったじゃないか。でも俺は抑えられなかったから…このままいくと…」

『き、気にしてないです！あれは！恥ずかしいからであって！！気持ちよかったので！その！！』

竈門「そうか…」

ふわっと風が揺れた

視界が横転して愛しい旦那さんの香りが強くなる

竈門「なら、我慢しなくてもいいよな？」

本気で抱き潰される竈門夫人であった

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