本気で孕ましてやる。続！【鬼滅の刃】

我妻くんの病み ページ38

『やっぱり怖いものは怖いな…』

彼女の交友関係は非常に狭いものである

もともと、彼女は大変好かれやすい体質のため

友達は学校を超えて、国境を超えて存在していたのだが

沢山のいざこざに揉まれ、巻き込まれ

まともな人生を送れなくなってしまうと

嫌でも狭める他なくなる

沢山あって、数えきれなかった連絡先は

これでもかという程に白く。

断捨離するにはあまりにも規模が大きかった

彼女はその風呂上がりの髪を一つにまとめながら

炭治郎に貰ったぬいぐるみを抱きしめる

怖いなぁ…と、再三呟いていると

携帯から電子音が説かれた

『た、炭治郎君…』

一つはもちろん炭治郎のもの

大丈夫か？怖くないか？

と、単調なものでありながら

完璧すぎるタイミングに身の毛がよだつ

優しいなぁ、なんて緩く頰を和ませつつ

その瞳を蕩けさせた彼女は

その裏にある策略を知らない

『…あ、善逸君からも』

炭治郎に軽く返事を返すと

次は善逸からのメッセージを見た

あまり会話をしたことはないけれど

炭治郎の友達ということで

連絡先を交換した仲である

ついでにその時の炭治郎は

絶対に変なことをするなよと

厳しく釘を刺していた

その時の善逸はあまりの気迫に少したじろいでいたが

その眼差しは何処か朧げなものであった

最近、元気？

と、こちらもまた他愛ない文章だったが

夜の暗さも相まって心に染みるものがある

優しいなぁ、炭治郎も善逸も。

なんて普通は思うところなのだろうか

『元気…ですが、問題はなくもないです』

携帯を持って何年か経つが

それでも彼女が返事を打つのには時間がかかる

曖昧な表現を使った時には

大抵、彼女は大丈夫ではない

ぞわ、と背中を駆け上がるような感覚

震えて止まらない手のひら。

仕事先に盗聴器なんてそりゃ怖いものもある

送信、というボタンを押すと

相槌を打つように既読、の文字がつく

ちょうどのぞいていたんだろうか

なんて早すぎる返信を待ちながら

テレビの音を聞いていた

大丈夫じゃないんでしょ？

『ず、図星でございます…』

彼女は嘘をつこうと思えば必ず見抜かれた

文面では伝わらないはずなのに凄いなぁ

なんて呑気に考えながら

実は、大丈夫じゃないんです

と正直に返した

『なんで分かるんだろう…嘘つくの下手なのかな？』

一つ、部屋の明かりが揺れた




我妻「なんで分かるんだろうって…可愛いなぁ。嘘どころか全部、把握してるんだよ？」

そう、ぜーんぶ。ね？

知らぬが仏→←竈門くんの病み

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す