本気で孕ましてやる。続！【鬼滅の刃】

泣くなとばかり。 ページ18

竈門「泣くな」

ある昼下がりのことである

その時間帯はどことなく匂いが気になって

足早になったりして

あ、今日の昼御飯美味しいかな

なんて思わず頰を緩ませてしまう時間帯だ

この二人はそうではないみたいだが

みっともなく声をあげて泣く女と

その女を冷たい眼差しでみる男

ワガママ娘はすぐ泣くらしい

竈門「………泣くんじゃない」

ある黄昏時のことである

精一杯の告白をしたが受け入れられず

その右手に持っている花束が虚しく地面にたれる

琥珀のような瞳から蜜が溶け出して

声を殺して泣く姿は心にささる

それでも男は泣くなとばかり

冷たく言い放った

竈門「…な、泣かないでくれ」

今回もどうやら失敗に終わったらしい告白は

もう夜もふける時におこった

寝巻きでも精一杯可愛くめかして

一杯一杯になりながら走って

眠たい目をこすりながらその羽織を捉えたというのに

勢いで出てきてしまった言葉は

やっぱりワガママで。

こんなはずなんかじゃ。なんて

思いながら涙を流す姿がどうも弱々しい

これにはあの冷たい男も強く言えなくて

必死に泣くなと唱えていた

それでも男が女の涙を拭うことはなかった

竈門「…どうか、泣き喚かないようにして下さい」

我妻「何してんの？」

竈門「あぁ、手紙を書いてるんだ。あの子のことだ、貰ったら泣き叫ぶんじゃないかって…」

我妻「……ばかんじろう……」

筆が走る朝方だった

布団が敷いてあるのに全然シワがついていない

ランプの光がちかちか、点滅している

少しクマが深くなった目元

ペンだこが出来てしまった右手。

そして周りには書き損じた手紙達が落ちている

その一つ一つにさまざまな思いがこもっていて

彼がいかに手紙一つに苦労したかを物語る

徹夜して、手紙を書くなんて。

竈門「な、泣かないで…くれ」

必死に涙を拭う男がいた

その声は優しくて、その眼差しは熱くて。

一つの言葉に隠しきれない恋心が見えて

それが信じられなくて夢みたいで

女は更に泣いてしまう

最後の告白は男からだった

泣くな

泣くんじゃない

どうか、泣かないでください

泣かないでくれ

〈泣かないで〉

ある昼下がりのことである

あ、今日の昼御飯美味しいかな

なんて、考えている人たちが道を横切る

大きな泣き声に顔を歪ませながら。

その声の元はある結婚式である

美しい新婦がその泣き声の原因だ

『泣かないで下さい、









…炭治郎様』

その瞳からはとめどなく涙が溢れていた

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