本気ではら .ましてやる。【鬼滅の刃】

煉獄杏寿郎の本気 ページ5

煉獄「今日はいい天気だな！」

『…」

煉獄「団子が好きだと聞いたから茶屋にきたのだが気に入ったか！」

『…』

昼下がりのことである

豊満な香りを漂わせるのは

甘い蜜を惜しげもなくさらしたみたらしだんご

そしてその側に置かれた茶がほろ苦く

みたらしの甘さを引き立ててくれる

おもわず食欲を誘われるそんな一品だ

店の外で咲き乱れる花を見ながら食べる

そんな贅沢な時間は誰でも好きであるが

彼女、煉獄Aだけは別のようである

煉獄「そういえば君は今日、何も食べていないな！そうだ！俺の団子も食った方がいい！うまいぞ！」

周りの視線が少し痛く感じる

奥さんの透き通る胡蝶蘭のような瞳は陽があたっていなく

そのまろい頰は喜びを知らない

太陽のように明るく、豪傑な杏寿郎とは全くの正反対である

暗くて、静かで、飽きているような、失望しているかのような。

現に二人分のみたらし団子は一向に減らず

一回も杏寿郎の問いかけに返事をせず

ただただ人形のように腰をかけていた

所詮、彼らは政略結婚だったのだ

煉獄「うむ！君の好みに合わなかったのだな！じゃあ別のところを探そう！」

だが、杏寿郎は奥さんのことを本気で愛しているようだ

実は杏寿郎、出会ったその瞬間に一目惚れ

奥さんにその当時、別の恋人がいたにも関わらず

結婚を押し通してしまったのだ

もちろん奥さんの心は杏寿郎の元にはなかった

しかしそこで諦めず

なんとか自分に惚れさせようと杏寿郎は

限られた休みを彼女のためだけに使っている

煉獄「正直、何かいってほしい！」

『…』

煉獄「無視！」

まずは会話からと意気込んでいるものの

どうも一筋縄ではいかないようだ

いつものことながら困り果てた杏寿郎は必死に策を巡らす

そんな中、彼女が遠くではしゃいでいる子供を見て

思わず少し笑った

杏寿郎は驚いてすぐに声をかけた

煉獄「君は子供が好きなのか？」

もちろんその言葉に返答はないが

先程溢れた笑顔がそれを示していた

彼女の意外な一面に杏寿郎は一言

煉獄「子供は欲しくないのか？」

と、言った

彼女は無論黙ったままだったが

その顔は驚きに満ちていた意外だったのだろう

そして思わず

『子供は、好きです』

と。

自分の口が勝手に動いたことにさらに驚いて

急いで団子を口の中に放り込む奥さん

奥さんの返事が貰えたことに気持ちが高ぶって

煉獄「俺も好きだ！」

と、杏寿郎は笑った

太陽が沈むにはまだ早すぎる

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