本気ではら .ましてやる。【鬼滅の刃】

猗窩座さんの本気 ページ19

『食べたいなら食べろ』

猗窩座「俺は食べるつもりはない」

『なら離せ』

猗窩座「やだ」

星空が落ちてきた

地平線はもう星々に食われている

空を横たわる天の川が白かった

しっかりと腕を掴まれて持ち上げられる星柱は

あまりにも無力だ

その星座を閉じ込めた羽織も破かれ

哀れにも無防備としか言いようがない

星座暦のような瞳が必死に燃えた

『どうするつもりだ』

猗窩座「鬼になれ、お前は本当は強い」

『為すすべもなく捕まったんだ。弱いに決まってるだろ』

ぎりっと強く奥歯が軋んだ音がする

とても悔しさと憎しみが混ざった鬼の大好きな音

長い髪が夜空に溶けて

新しい天の川を作っていく

神秘的な美しさとは彼女のことを言うのだろうか

まるで織り姫を連想させる美貌である

彼女が恐ろしく強いことなんて

鬼殺隊どころか鬼の中でも有名である

そんな彼女がこんな醜態をさらすのは

理由があるからに違いない

猗窩座「お前、俺のことが好きだろ？」

悪戯に笑う猗窩座

図星をつかれた星柱は

小爆発でも起こったかのように顔を真っ赤にさせる

天の川の髪が風に揺れて散らばる

その下から覗いた瞳は輝かしいものであり

震える唇が初恋の女のものであった

『いえ！まさか！！別にそんなことはありません』

猗窩座「…嘘が下手くそだ」

存外、可愛らしく照れるものだと猗窩座は思った

口調も思わず素が出たのか

気品に溢れて物腰柔らかものであった

睨みつけられていた瞳もつい緩んでしまい

本来の垂れ気味の優しい眼差しが向けられる

こうしてみるとさらに夢見がちな容姿だと痛感する

『いや、本当に！違うんです！！別に一目惚れなどでは！』

猗窩座「一目惚れなのか」

やらかした…と言うような顔をした彼女

不覚にも可笑しくて笑ってしまう

本来は嘘もつかないほどのんびりしていて

茶目っ気があるのだろう

想像以上に面白い星柱を見て

猗窩座も少し心がくすぐられる

猗窩座「食べたいなら食べろと言ったな」

体を引き寄せて耳元で囁く

すると大袈裟に肩を揺らして少し甘く息が揺れた

彼女はめっぽう快楽に弱いのかもしれない

猗窩座「ならそうさせて貰うぞ？」

『えぁ』

猗窩座「孕んでしまうかもしれないなぁ」

彼女の隊服に手をかけた

驚くほど脈が早いことに気づき

哀れにも期待されているのだと悟る

優しく首筋も撫でてやると聞いたこともないくらい

甘い声を漏らすのだからすっかり可愛がりたくなった

空では星が燃えている

ご紹介→←ご紹介

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す