いつも貴方は ページ16
あの後結局彼女が折れて
一緒に走っている
冷たい夜風を掻き分けながら
雨を顔中に浴びていた
実際疑問半分、面白さ半分だ
こう言う展開は初めてだし
なにより彼女を知る手掛かりだ
黙っていたら何にも教えてくれないんだから
「！！あぶない！」
そんな事考えた時点で終わりだったんだ
雨と泥で濡れた靴下が
ぐちゅりと音をたて水溜りを踏んづける
気持ち悪い感触に嫌気がさす
そしてまるでパノラマのように世界が動いた
街灯に照らされて怪しく光る刀の先
たくさんの赤色
つんっと頭にくる血生臭い匂いと
甘い香りに包まれるは
愛おしい彼女の姿
目から無意識に溢れて出た涙だけだった
こんな状況を理解できるのは
頭は受け付けていないようだった
だってまさか自分を構って
腹部に刀を刺されたなんて
信じたくない事実だから
ボルト「ねーちゃん！！」
月の宮のねーちゃんは必死になって
堪えた小さな叫びをあげた
甲高い耳に残る声
いつもの鈴蘭の様な声はなかった
雨の音が一層強くなる
闇にだんだんと包まれて消えそうになる
彼女はそのスラリと伸びた手を伸ばした
「逃げて！」
白い手を伸ばして指差す所は火影室
相変わらず灯は付いていて。
一応俺の父ちゃんかつ忍界の英雄が
あの先にいるという事を伝えてくれた
だけど遠い向こう側より
こっちで消えそうな彼女の方が大事だ
彼女の手を強く引き体制をかえる
お世辞にも大きいとは言えないこの背中に
優しく乗せた
ボルト「一緒に行くってばさ」
「馬鹿！やめなさい」
慌てる彼女の声をバックに
大きな一歩を踏み出して
地面を強く蹴った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきぽん
| 作成日時：2018年3月22日 20時
