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個性事故、その後 ページ14

中学校

爆豪「静かにっつーてもよ」

デコピンをかまされた。

訳の分からない俺のそっくりさんに

あいつの言っている事が本当ならば

俺は将来、無事に皐月と結婚する事ができる

たしかにあの縮こまっていた女は

どこからどう見ても皐月そっくりだった

透き通るような白い肌も、綺麗な金髪も全て。

『ひぇ…爆豪…………先輩』

数分前まで目の前にいた奴らを思い浮かべていると

後ろの方から小さな悲鳴じみた声が聞こえた

最初に聞いたのは画面の向こう側

そして最近は逃げる後ろ姿から

よくその声を聞いていたが

こうやって向き合って声を聞けたのは初めてだった

爆豪「よぉ!!皐月…」

静かにしろよ

そう言った声が聞こえてくるような錯覚に陥った

そういえばあの未来の俺はやけに静かだったような気がする

その隣で縮こまった女も小さく震えていたことを思い出す

爆豪「今、暇か?」

声のボリュームを限りなくゼロに近づける

その声は風にも雨にも負けてしまうような声だったが

彼女にはしっかり届いたようで。

このくらいの声でも通るのかと驚いていた

『し、静かですね』

爆豪「こんなんで聞こえてんのか」

『はい。大きく聞こえますよ』

これでも大きいのか、と驚いてしまった

それじゃいつも浴びせていたあの怒鳴り声は

死んでしまうほどに大きかったのではと

初めてその時実感した

爆豪「…こんくらいでどうだ」

『まだ、大きいです』

爆豪「…………こんくらいか?」

『あともうちょっと』

爆豪「いやもう、ムリだろ!!」

下げても下げても、いいと言われない事に腹が立って

少しだけ声を荒げてしまった

すると彼女はいきなりの事で驚いて急いで耳を覆った

が、しかし声は彼女に届いたようで

辛そうに眉間にしわを寄せて縮こまってしまった

その姿はあの女のようで

彼女の個性はこんなにも大変なのかと痛感した

爆豪「大丈夫か…」

と、声をかけようとした時

我に帰った彼女は急いでその場から逃げ出した

いつもなら追いかけるのだが

追いかける気になれなくて

そのまま呆然と小さくなっていく背中を見つめた

爆豪「初めて会話した気がする」

もう見えなくなったくらいで

初めて自分の行動に目を向けた

いつも一方的だった言葉に返事が帰ってきた

それがなんとなくだけど、ホントどうしようもなく嬉しくて

頰が緩んでしまった

初めて彼女に歩み寄れた実感が湧いた

爆豪「がんばろ…」

小さく呟き帰路に着いた

爆豪誘拐事件の彼女→←個性事故



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花帆 - ヒロアカで一推しのかっちゃんと夫婦夢を読めて嬉しいです!!すっごくトキメキました/// 怒ったハムスターみたい 想像して、んん、可愛い…!ってなりました(o>ω<o) かっちゃんも夢主さんも可愛いです(*´ω`*)  (2019年10月31日 3時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきぽん | 作者ホームページ:http:///  
作成日時:2018年9月16日 0時

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