自由人 頑張る

35 かくれんぼ ページ36

＿＿＿＿まったく見つからない。




帰ってしまったのでは？というくらい気配がない。彼女の家系能力かと疑ったが、腕輪がある以上、違うだろう。さっきまでそこにいたというような痕跡はあるのに、あと一歩の所で見つからない。まるで煙に巻かれたような感覚だ。




彼女を甘く見過ぎたか。残り時間は10分、これは流石に本気で見つけるしかない。




＿＿＿＿残り時間1分




「はぁ、ようやく見つけた。」




結局、彼女を見つけた場所は最初にいた屋上だった。もう空も暗くなりつつある。




『ひっさしぶりにハラハラしましたよ〜。スリル満点！！ 楽しかった〜。』




余裕そうに屋上の柵に座って、足をブラブラさせている。




「そんな、余裕そうにしてていいのかな〜。あと30秒あるよ。この距離だったら一発で君を捕まえることができるけど？」


『えっ、あと30秒？ うそ』




急いでタイマーを確認するA。




『マジ？』




「マジ」と返せば、余裕だった態度から一変、みるみる焦りだした。捕まえようと、ジリジリと距離を詰めていけば、『たんま、たんま。』と手を振り始める。




『たんま、たんま。30秒くらい見逃してくれるとかは＿＿＿＿「ない」＿＿＿＿＿ですよねー。』




エイトがAを捕まえるため、一気に距離を詰めようと地面から足を離したのと同時だった。




＿＿＿バキッ




「『えっ？？』」




経年劣化か、耐久性の問題か、座っていた柵が壊れて、Aの身体が宙に放り出された。




『え“ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ』




地面に向かって一直線で落ちていく。今、彼女は魔具のおかげで、魔術を使うことも飛ぶこともできない。




「あぁ、もう＿＿＿」




手のかかる。




エイトはAを助けるため、魔具を片手で壊し、屋上から飛び降りた。




Aの身体が地面に衝突するまで、あと30m




20m




10m




5m




＿＿＿＿＿1m



＿＿＿

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