自由人 頑張る

12 掃除 ページ13

やってきました放課後。




Aは片手にバケツ、もう片手には雑巾を持って一人半泣きで窓掃除をしていた。




『全然終わらない･･･。一人で終わるはずがないじゃん。』




途方もない窓の多さに絶望しながら、疲れたのでしばらく休憩していると、廊下の方に怪しい人影が二つ。




『(何やってんだあれ。)』




Aの目にはいつもイルマにくっ付いている二人組が、認識阻害グラスをかけ、壁に張り付きながら尾行をしている姿が映っている。




『(認識阻害グラスをかけてもバレる怪しさって･･･)』




当のイルマは背の高い赤い子と話している。上級生だろうか。二人とも仲良く生徒会室に入っていく。しばらくは出てこさそうな感じだったので、観察を諦め、他の窓を掃除しようとフヨフヨ飛んでいた。




『やる気出ないよー＿＿＿＿＿「危ないッ！！」＿＿＿＿え？』




ドカッ




『グエッ』




一瞬何が起こったか分からないが、知らない生徒が自分の上に乗っている。




話を聞けば、廊下でふざけて遊んでいたら窓から転落してしまい、ちょうど落ちたところに自分がいて巻き込まれたらしい。




まったく勘弁してくれ。




Aの不機嫌そうな表情に気付いたのか、巻き込んだことに罪悪感を感じているのか、その生徒たちは血相を変えて必死に謝ってきたのでとりあえず許すことにした。これ以上、余計な面倒ごとは増やしたくない。




今日は厄日か。そう思いながら窓掃除を続ける。




『うん？ 何か手首に違和感が』




どうやらさっきの生徒が落ちてきた時に手首を少しひねってしまったようだ。まぁ、ひねっただけだし、そんなに痛みもないから数日で治るだろう。




＿＿＿＿＿そう甘く見ていた。


＿

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