平穏に生きたい 3

40 新13冠候補 ページ40

13日の秘め夜会(サーティーン・シークレット・ディナー)。




新13冠の発表を主題とし、高位階(ハイランク)悪魔のみが参加を許された特別な大貴族会(デビキュラム)。




「(新13冠候補としてこの席に座り、あッチが今、思うことはひとつ！！＿＿＿＿＿誰かなにか喋れよ！！)」




新13冠候補としてバチコ、メフィスト、ゼブブラが一つのテーブルを囲んで座っている。




「(自己紹介とかした方がいいのか？)」


「(いや、むしろ威嚇か？ メンチきった方がいいのか？)」


「(番犬(ナベリウス)もどっか行っちまったし･･･。ううっ、あッチは悪魔(ひと)付き合いが苦手なんだ！！)」




携帯をいじるゼブブラ。鼻歌を歌うメフィスト。




何とも言えない混沌(カオス)な状況にバチコは頭を抱える。




「(どっ、どうしよう。話しかけるか！？ ムシか！？)」


「(あッチは･･･あッチはどうしたら･･･！！)」


『では私とお話ししませんか？』


「「「！？」」」



バチコの顔を覗き込むように、紫の瞳を持つ悪魔が横に座っていた。思いもよらない悪魔の登場に目を見張るバチコ。




『まぁまぁ、そんなに固くならないで下さい。』


『お話しするだけですよ。』




そう言ってニコリと笑う彼女の意図が全く読めない。




『＿＿＿甘いものはお好きですか？』




急な質問に戸惑うバチコ。甘いものは好きだが、ここで好きというだけでいいのだろうか、何か試されているのだろうか。色んな思考がグルグルと回る。




「え、えっと、その＿＿＿」




おずおずと口を開いた時＿＿




「よう、やってるかい？ 候補者(ライバル)諸君」


「バ･･･ッ。ジェントル！？」




新たな訪問者は左目だけに仮面を付けているが、言われずとも誰が来たかは明白だった。




「貴女(レディ)も一緒に話しますか？」


『もう用は済みましたので、どうぞ。』




バールに話しかけられたAはすぐさま席を立つと同時に、テーブルの下でバチコに小さな紙切れを渡した。




“『今度、良かったらお茶でもしませんか？ 甘いもの、用意しておきますね。それと入間くんの話も聞かせて欲しいです。』”




入間の名前が出てきたことに驚いて顔を上げたが、人混みに紛れたのか彼女の姿は確認できなかった。


＿

バチコ師匠、かっこいいですよね･･･。

41 新13冠→←39 指輪

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す