平穏に生きたい 3

36 デビキュラム ページ36

＿＿＿6月13日



「わっ、わ〜、大きな階段･･･！！」


「敷地も建物も立派ですね･･･」




入間、アリス、アムリリスたちはデビキュラムの会場「ロストラウンジ」にいた。詳しい現在地は13冠しか知らない秘密の場所である。今回のデビキュラムは、次期魔王を選び出し育成するTS(トリックスター)計画の説明と新13冠の発表が主な目的として開催されるのだ。




「入場だけど･･･イルマきゅんはお約束があるのよねん？」


「はい！ えっと、待ち合わせを･･･」




そうアムリリスに言いかけた時、後ろからトントンと誰かに肩を叩かれた。




「良かった！ 見つかった！」


「アメリさん･･･！？」




後ろには、今回のエスコート相手であるアメリが立っている。




「シーーー！！ ここでは“貴女(レディ)“だ！」




どうやら、名前は明かさず、女性は「貴女(レディ)」、男性は「貴方(ジェントル)」と呼びかけるのがマナーらしい。そしてそのまま入場を終え、二人は会場のホールへと足を運んだ。




「「おおぉ〜〜！！」」




二人の眼前には豪華絢爛な舞台が広がっている。思わずはしゃいでしまうアメリと入間。その時、アリスとアムリリスが入ってきたようで会場がざわめき立つ。さすがの現13冠、この場に引けを取らない振る舞いだ。




この会場には魔界の高位階(ハイランク)悪魔、しかもその上位が集っている。特に、今回の主賓、新13冠の候補たちがステージの前の方に座っており物々しい雰囲気だ。




盤外(ばんがい)の「メフィスト」。


二半王(にはんおう)「ゼブブラ」。


絶望の羽喰(アンデット・アーチャー)「バルバトス」。


そして、「ナベリウス・ナルニア」。




ナベリウスは番犬一族。一族の長兄は「魔関署」へ、他兄弟は「悪魔学校(バビルス)」へ勤める義務がある。そして、歴代の一族の中でもナルニアは“厳密”で有名である。魔界に仇なす存在には一切の加減なし、どんな凶悪な犯罪魔も骨の髄まで調教し、苦しめるという噂からついた名は「魔界の番犬」。




そうアリスから説明を受けていると、ナルニアからの鋭い視線が飛んできた。




「(みっ、見てるッ。僕を･･･。なんで！？)」


「(まさか、僕の正体が･･･)」




心拍数が上がる。鋭い視線から目が離せない。どうしようと焦り始めたその時＿＿＿＿＿

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