平穏に生きたい 3

27 経験の差 ページ27

その後、何とか時間を稼げるように動いたが、あっという間に追い詰められてしまった。




『惜しかったね。途中まではいい感じだったんだけど･･･。経験の差かな？』




アロケルは頭が良い。それ故、考えてから行動に移してしまう。どんなに頭がキレたとしても、思考を先に読まれてしまえば打つ手はない。




『最後、前もって考えずにその場の判断でそれぞれが動いていたのは凄く良かったよ。良いチームプレーを見せてもらった。』




『でも』とAは続ける。




『初めて息を合わせたチームだから迅速かつ的確に動くのは難しかったね。問題児クラスの子たちだけでチームを組んでいたら結構な勝算はあったと思うけど＿＿＿＿』




『残念だったね』と言いながらAは残りの風船(ハート)を割ろうとした。




『・・・・。』




その瞬間、Aの動きがピタッと止まる。そして周りを見回し始めた。




どうしたのだろうか。




「A先生？？」




Aの顔がみるみる険しい表情になる。




『･･･ここからなるべく動かないで。他の先生たちの指示があれば速やかにその指示に従ってね。』




Aは能力制限のために目につけてあったマスクを外す。




そして急いで羽を広げ、上空に飛んでいった。

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