6 捕縛 ページ6
本能的に身の危険を感じたAはこの場から逃げ出そうとしたが、座っていた椅子を掴まれて強制的にダリの方を向かされたため、立ち上がることさえできなかった。
『あ、ええと、その、ここ職員室ですし、誰か他の生徒とか先生来るんじゃ・・・?』
Aは逃げる隙を探し、必死に話題を逸そうとする。しかし、ダリは全く動じない。
「うん。でもね、誘惑は一瞬の勝負だから、時と場所を選んでる暇ないんじゃないかな?」と言いながら、距離を縮めてくる。
近い。近い。
『ち、近いです。』
Aは椅子ごと後ろに後ずさる。あれ?動けない?
魔術で動きを封じられたようだ。完全に身動きが取れない。
最初はどうにか逃げようともがいていたAだったが、諦めたのか下を向いてうつむく。
ダリはうつむいてしまったAの顔を片手で掬い上げる。
「
ダリの目に映ったのは、顔をあげたAが目に涙を溜めて、必死に耐えている姿であった。
珍しい彼女の泣き顔にダリの拘束が緩む。
『泣いてません!! だって、だって____その計画までバレててッ。このままじゃ勝ち目なくて__。私、入間くんたちと約束したからっ。墓穴を掘ったのは私だけど、何とか挽回したくてこの2日間頑張ってきたのに_____ツッ。』
目からポロポロと涙が溢れ始めた。
さすがにやり過ぎた。ダリはAの拘束をとき、Aの涙を袖で拭う。
「ごめん。ごめん。やり過ぎたね。」
「あまりにも、A先生が本気だったから、僕も調子に乗っちゃった。」
「ごめん____『捕まえた。』___え?」
“
「え??」
彼女の手が自分の目の前で淡く光った。
その瞬間、眠気がダリに襲いかかる。ダリは耐えきれずに膝をつく。
急いで彼女を見上げれば、勝ち誇ったような顔をしていた。
『私の演技も伊達じゃないですよね______ダリ先生?』
『こんな所でおめおめと泣いて諦めたりはしませんよ。』
彼女はいつもの涼やかな顔をしてダリを見下ろす。
『大丈夫。ちょーっと眠っててもらうだけですから。』
瞼が重く、意識を保っていられない。
『_______おやすみなさい。』
やられた_______。
Aの言葉とともに、ダリはその場に崩れ落ちた。
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ヒヨコ(プロフ) - 寝子/猫さん» 私も教師陣好きです。てぇてぇしていって下さい⭐︎ (9月28日 21時) (レス) id: 025ddae4e2 (このIDを非表示/違反報告)
寝子/猫 - 教師陣って良いよなぁ、、、私の推してぇてぇなぁ (9月28日 16時) (レス) @page35 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコ(プロフ) - ハントさん» コメントありがとうございます!!そういってもらえて凄く嬉しいです! すごい励みになります。これからも頑張るので応援よろしくお願いします!! (9月24日 10時) (レス) id: 025ddae4e2 (このIDを非表示/違反報告)
ハント(プロフ) - ストーリーの進まり方も文も設定も書き方も、本当に全部すごい好きです!!これからもぜひ読ませてください。応援してます! (9月21日 17時) (レス) id: ea3a801d1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒヨコ | 作成日時:2023年9月20日 11時