陽は落ちている (ページ3)

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生まれ直しページ3

べちゃ。

「あ」

膝の上にケチャップが零れ、少女が声を漏らす。
しかしすぐに左右から伸びてきた手がそれを片付けだした。

「だから気をつけて食べなさいって言ったのにフリアエったら！本当に私がいないと駄目なんだから～」
「あーあー、口周りすごいことになってるぞ。ほら、拭いてやるからこっち向け」

左右の手にお世話とお小言をもらいながら少女＿＿フリアエはうーんと唸り声を上げる。
いつもいつもこんな調子である。
勿論それは彼女がいつも子供みたいなミスをしてしまうということでもあるが。
片割れも幼馴染も何故か幼い頃からずっとこうで、二人はよく彼女を外から隔離しようとしていた。
そのせいで二人以外の人間とフリアエは中々親しくなれない。
いつもならなんだか幸せそうだし自分もありがたいしとほうっておいたのだが、その日の彼女は少し困っていた。

「お世話してくれるのはありがたいんだけど……私、もうそろそろ自立しなきゃいけないと思うんだ」

フリアエがそういった瞬間二人の動きが止まった。
わかってくれたのかなとフリアエがまた口を開こうとした瞬間世話を焼いていた二人の両手が彼女の腕を掴む。
素早く状況を把握し、これ二人の方を見ちゃいけないやつだなあとフリアエは静かに俯いた。
度々こういうことがあるのだ。
きっと今の二人は地上波で放送できない顔をしているに違いない。

「どうして……？フリアエ、私たちと一緒にいないと死んじゃうのよ？自立なんてしちゃだめ！」
「そうだぜ。あまり変なことを言うんじゃない。
あんたができなくなっても俺たちがいるんだ、何も心配要らないさ」
「そ……それがやなの！自分でできるようになりたい！」
「フリアエ……」

案の定自分を手放すまいといつもよりも低い声で左右から囁かれればフリアエはぎゅっと目をつぶってそれが嫌なのだと叫ぶ。
それを聞くとカルメンが手を離した。

「どうしましょう、ジェバンニ、フリアエがいなくなっちゃう……」
「……フリアエ、俺たちから逃げないと約束できるか？」

弱々しいカルメンの声の後、フリアエはジェバンニの方を向かされる。
そこにある目はいつもの色をしているはずなのに、どこか黒々と濁っているように見えた。