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ワカが相当A気に入ってんのは知ってたけど、異性としてなの?流石に冗談だよな?ついさっき"自分から好きンなったのいねーし"とか宣った超モテ男が?
ベンケーはどうなの?ワカと違って一人と長く付き合うイメージあるけど。集会連れて来てたし……、
「……真チャンさっきから何変な顔してンの」
「マイキーのアンカー始まるぞ」
危ね、見逃すところだった。
万次郎は立ち上がるも普段通りAと話していて、まるで緊張感がない。今走っている同じレーンの女の子は半周先でバトン渡す相手が位置にいない事に焦っているだろう。弟がごめんな。
次いで立ち上がったAは、チームメイトからの応援に笑みを返してから、俺らを向いて手を振った。
「白組2レーンとも負けてンのに、あいつら余裕そーだな」
「ははは!肝座ってらー……おっ、マイキーバトンだ、行け!!!」
万次郎、絶対バトンパスの練習してないだろ。どら焼き貰うみたいに受け取るな。
いつもの自信満々な笑みを湛え走り出した万次郎が先の走者を一瞬で抜いたところで、Aが現在最下位を走る男子からバトンを継いだ。
「ぶっ飛ばせ、A!!!」
「おいゴラAかませやァ!!!」
治安の悪い身内の応援を抜きにしても、盛り上がりは最高潮だ。Aも万次郎に同じく楽しそうに走りながら一人目の走者をすぐに抜き、またその次との差を縮める。
「ほう……Aも中々」
「万次郎は見慣れてるけどよ、Aも化けもんだろ」
「あいつらは無意識に自分の身体の使い方を理解しとる、効率が良い。センスだな」
ジイちゃんが解説し終えたところでAは二人目の男子を抜き、白組同士の一騎打ちになる。同時に万次郎がテープを切った。
追ってゴールしたAは鉢巻とヘアゴムを外し艶やかなブロンドヘアをかき上げ、万次郎にハグをしてから勝利を喜ぶチームメイトに囲まれた。
「マイキー、Aにギューされて固まってやンの。真チャン次あいつらの競技はー?」
「んー……と、給水タイムだから三人共一旦こっち寄る筈」
ワカに応えると、タイミング良く三人がレジャーシートに戻って来た。
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作者名:カーター千之助 x他1人 | 作成日時:2023年5月6日 4時