ミス・インディペンデント【東リベ】 (ページ32)

今日:14 hit、昨日:62 hit、合計:161,252 hit

運動会！① ページ32

弟たちの運動会当日。

「万作さん、真くん、若ちゃん、ベンケーくん。Aをよろしくね」

　体調不良の中、(この調子だとA本人も手伝ったに違いないが)孫の為にと頑張って作ったのだろう。Aの祖母ちゃんから大量のお重を預かる。

　俺らの呼称がAからすっかり移っている上、よく似た綺麗な笑顔で託されたジイちゃんとベンケーは「おう！」と漢らしく返事をし、ワカは遠慮なく色気を放ちながら「写真とビデオは任せな、スズネ」と謎の流し目をキめていた。

「祖母ちゃんも家で応援してやっててくれな！！」

　Aに家族の代わりに来てくれないか、と頼まれた時のワカとベンケーは不気味なほどに嬉しそうだった。その場に居合わせた青宗も「(自分の学校の運動会休んで)行く」と言い出す始末で、そこは何とか"ココ"というらしい奴の幼馴染の名を出して引かせた。

「お、あの辺良いンじゃね」

　早くに出たので、まだ前列が空いていて助かった。つい最近まで族やってた奴らだ、埋まっていたら睨みの一つや二つ利かせたかもしれない。こいつらの本気は、元総長の俺でもチビる。

　レジャーシートを敷き、ベンケーが両手一杯に抱えたクーラーボックス(内半分はビール)とお重を置き、各々腰を下ろした。

「弁慶、暑くはないのか」

「おう。墨出してたらAが嫌な思いすっかもしんねーだろ、ジイさん！！」

「顔面凶器だけど。俺らン周り心なしか人集まんねーじゃん」

「えーっと、8:45から入場行進！何か響きが可愛いな、お前らも中一でチーム作る一年前まで入場行進してたのか？」

「「ぶっ……！」」

「変な事言うなよ、真チャン！！ベンケーは一人民族大移動だ」

「ははは！でも万次郎とAは後二年、エマは三年でそんな歳だからな……お、何かぞろぞろ出て来たぞ」

　一年生だろうか、手作り感満載の入場門の後ろで落ち着きのない子どもたちが先生たちに誘導され歪な列を作っている。

　早速ビールを開けているワカとベンケーに「酔って写真撮れてねーとかいうオチだけは勘弁してくれ」と忠告しながら、先に出てくるであろうエマを待つ。