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「これあげる。とっても美味しいんだよ」
「……飴?」
「アメリカのグミ!」
学校でキャンディー食べてたから、甘いの好きかなって。と続けたAも同じものを口に含み、ぺ、と舌を出して見せた。
その仕草に気恥ずかしくなり、「変な色」と悪態をついた俺に「日本のオヤツに比べたらナスティーだよね」とAは頷いた。
ナスティー?メイの言葉はたまにわからない。まあ、日本に来て間もないのだから仕方ないのだろう。
またね、と踵を返そうとしたAの細っちい腕をつい掴んでしまった。
「あっ……」
「?どうしたの」
「や、Aこの辺慣れてないだろ。だから時間あんなら案内してやる」
「本当!?嬉しい!」
「ま……ダチ、だし」
ダチ?と首を傾げるAをスルーし、腕を離し小さな手を握り直した俺は、ずんずんと引っ張って、まずはお気に入りのたい焼き屋へと歩みを進める。Aは自分で払おうとしたけど、小遣い貰ったばっかりだったから断った。グミの礼だと格好付けて。
「わっ、ほかほか!あったかいね。んー!」
馴染みの公園まで連行し、ベンチに腰掛けたい焼きを食べる。どうやらAは初めてらしく、その見た目にドキドキとした様子を見せながらハフっと口にすれば上の感想。
Aが幸せそうに長い睫毛を揺らす度、今度は俺がちょっとドキドキした。
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作者名:カーター千之助 x他1人 | 作成日時:2023年5月6日 4時