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こんにちは、転校生。 ページ1

ハーフとかクオーター、と言うやつなのだろう。

 マシュマロのように白い肌、幅の広い二重に薄茶色をした豊かな睫毛に囲われた緑がかった宝石のような瞳。高く形の良い鼻、ぷっくりとした唇。何より、俺の掌で覆えそうな小さな顔に長い手脚。まあ、日本人離れした美少女。

 普段通り飴玉を口に転がしながら、机に突っ伏して早速眠りかけていた俺の脳は一瞬にして覚醒した。

 担任に紹介されたばかりのそいつの周りには、興味津々と言わんばかり人集りーー男女問わずーーが出来ていた。


「Aちゃんって呼んで良い!?」

「どっから転校して来たの?」

「俺、佐藤!よろしくな、Aさん!」


 どいつもこいつも煩いな。ほら、転校生困ってんだろ。


「呼び捨てで良いよ。転校っていうか……先月までアメリカにいたの。ニュージャージ。こちらこそ、よろしくね」


 ……全然困ってなかった。小学生らしくない大人びた声色と口調で、騒めかしい質問に一つ一つ丁寧に応える彼女をちら、と見遣れば目が合った、気がした。


「あ……あの肘付いてこっち見てるのはマイキーくん。喧嘩が強いって有名だけど、フリョーだから気を付けた方が良いよ」

「イケメンだけどねー」

「山田お前、面食いってやつか?」


 小声で話してるつもりだろうが、聞こえてるっつーの。自分が校内、クラスで浮いている自覚はあるし、不便に思ったこともない。

 それにしても、目立つ転校生を凝視し過ぎたか。何となく込み上げた居心地の悪さに小さく舌を打ち、新品同様の教科書を開くフリをした。


「不良って……ノーティの事?何で気を付けるの?」


 ノーティって何だ。多分英語なんだろうけれども。きょと、と大きな目を瞬かせる転校生を視界の隅に確認した。


「えっ、そ、そりゃ……なぁ?」

「うん。危ないよ」

「金髪だし、先生の言う事も聞かないんだ」

「Aさん……や、Aちゃんも、マイキーくんの言う事聞かなきゃボコボコにされるぞ」


 言いたい放題な同級生にうんざりした。いくらジイちゃんとシンイチローに促されても、学校なんかサボれば良かった。

 柄にもなく気になった転校生とだって、俺の悪評をばら撒かれた今仲良くなれる気もしない。人知れず溜息を吐いた。

*→



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作者名:カーター千之助 x他1人 | 作成日時:2023年5月6日 4時

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