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「もうこんな時間か、」
一通り話し合いが終わった頃、時計はすでに23時を回っていた。
そろそろ戻ります、と言ってお辞儀をする。
「おやすみ」
「おやすみなさい、」
久しぶりにおやすみなんて言葉を聞いた。
羽生さんの部屋を後にし、自分の部屋に戻る。
なんだか頬が熱い。
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翌日も相変わらずスパルタ練習。
でも少し違うのは、どうしたい？と羽生さんに聞かれるようになったことだ。
遠慮もしていられないので、どんどん要望を伝える。
羽生さんも清塚さんも、さすがプロだ。すぐに答えてくれる。
私も負けていられない。
必死に食らいついた。
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この日は練習後に収録があるということで早めに終了した。
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「今回、Aさんの曲という事ですが、どうですか？」
質問内容が、被災地へのことから曲のことに変わった。
基本的に全て羽生さん中心なので私は彼の言葉を待った。
「この曲はいろいろな捉え方があると思うんです。
自分の目線で捉えても、相手の目線で捉えても、亡くなった方の目線で捉えても。成立する。
そんな素晴らしい曲に出会えて、
それを伝えられるというのはとても楽しみです。」
羽生さんがふんわりと笑う。
「Aさんは、どうですか？」
「私自身、特別な思いでこの曲を書いたので、それを皆さんに伝えられたらなと思っています。
それで誰かを救えたらそれこそ本望ですね。」
家族に向けた曲が、更に広がってくれたらきっと父も喜んでくれるだろう。
更に質問に答えていく。
羽生さんの中にある熱い思いを聞き、更にやる気が出てきた。
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そして収録も終わり解散となった。
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作者名：ふーか | 作成日時：2019年8月26日 11時
