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「それで最近エレキも欲しいなぁと思ってて」
『エレキかぁ…それならいくつかおすすめのお店あります』
「ほんとですか？是非教えて欲しいです」
誤解が溶けてからというものの、距離の縮まり方がびっくりする位早い。
この前まで開けていた席は今は真隣に座り、私の行きつけの楽器屋を紹介すれば嬉しそうに笑う。
ちなみにギターを弾けることを隠していたのは「本業の人の前で言えなかった」だそうで、気遣いが回りすぎていて感服してしまった。
「勝利ー話が弾んでる所悪いんだけどそろそろ仕事の話してもいい？」
「あ、ごめん健人くん」
初めての打ち合わせの時と正反対の会話。その真っ直ぐな瞳を怖いと思っていたが今は名残惜しそうに伏せる仕草が綺麗だと思うようになった。
打ち合わせも円滑に進み、あとは私が詞を書き作曲者の人と詰めていくだけになった。
「じゃあ次はレコーディングで、ですね」
『はい。きっと皆さんに気に入った頂けるようなものを作りますので』
「楽しみだな〜！！」
和やかな雰囲気に胸を撫で下ろしていたのだが、さっきまで軽快に話してくれていた佐藤さんがだんまりとしている。
どうしたのだろうか、と見上げた視線が丁度絡む。その瞳は見たことのないもので、同時に言いようもない感情が込み上げてきて、息が止まった。
「あー…勝利は寂しいんだよねー？」
「ばっ、聡くん！」
『え？』
「顔には出してないけど折角話せるようになったのに当分会えないから悲しいんですよ、ね？」
最後の問いかけは佐藤さんに向けられたもの。優しい声色のわりに確信に満ちた言葉に観念したのか、深く呼吸をした後ゆっくりと私に向き直って。
「………次会った時、また話してくださいね」
寂しげに瞳を揺らしながら照れたようにはにかむその表情はとても可愛らしくて、まるで主人に構って欲しい子犬のようだった。
『もちろんです、ご迷惑じゃなければ』
「全然迷惑だなんて思ってませんから！むしろ俺はもっと話したくて話したくて！」
前のめりの彼に全員が目を丸くする。それを察知した彼はすぐ元に戻ったが耳が真っ赤で。
「そうだよねぇ〜いっぱいお話したいよねぇ〜」
「勝利かわいい！！」
「聡くんうるさい！！！！」
「なんで僕だけ！？！？」
聡くんがー！いやそれを言うならマリウスでしょ！？とか仲睦まじい喧嘩を見ていたら自然と口角が上がり、この仕事受けてよかったなと心の底から思った。
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カノープス - にこさん» にこさんありがとうございます！頑張っていこうと思いますのでのんびり読んでくださると嬉しいです…！ (2021年5月7日 19時) (
レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！すごくこれからの展開が楽しみです！応援してます！！ (2021年5月4日 0時) (レス) id: fd9c2932e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カノープス | 作成日時：2021年4月7日 21時
