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全速力である程度の身なりを整えて楽屋に戻れば何やら賑やかな空間。

どうやら打ち解けたメンバーが何かの話題で盛り上がっていて勝利さんもそこに混じってにこやかに話してる。

ギターの話とかならうちのギタリストとかと話が弾みそうだしね…と自分で思っておいてちくりと心が痛んだ。



“お、うちの大黒柱。どこ行ってたと思ったら着替えてきたのか”

『うん。べたべたしてたからねぇ』

“確かに。俺らも着替えてくるかー”



といそいそと歩き出したメンバーの一人が思い出したように振り返って爆弾を落とした。



“あ、そういえば菊池さん達も打ち上げ来ることになったからそのつもりでな”

『…は、え!?なにそれ!?』



説明を求める私を置いて去っていくその背中を見送る。丸まった目で二人を見れば風磨さんが口を開いた。



「実はさっきメンバーの方に誘われまして。他の方も大丈夫だって仰ってくれたのでAさんが良ければ、なんですけど」

『でも、明日のお仕事とかは大丈夫ですか…?』

「明日は俺らどっちも遅いんですよ。だから平気ですし正直皆さんともっと話したいなと思ったんで…勝利もそうだよな?」



同意を求めた風磨さんの言葉に頷いた後、やっと勝利さんが私をその瞳に写した。

やっぱり、二人並ぶと煌めきで目が潰れそうだな…なんて現実逃避めいたことを考え出した頭は勝利さんの声で引き戻される。



「数曲しか聞いてないですけど、そのお話とかしたいです…ご本人に話すのは少し恥ずかしいですけど」



誰かとライブの良かった所を共有したり語り合いたいという気持ちは分かるし演者側としてはどんな感想を持ったのか聞いてみたい。

それにそんな興奮が冷めきってない瞳をしながら照れ臭そうに笑いかけられてしまえば、小さく胸が跳ね上がって止まらない。



「えー俺もAさんと話したいこと沢山あるんだけど。勝利、一人占めしないでよ?」



いつの間にか近付いてきた風磨さんが私の肩に腕を置いた。冗談ぽく放たれた声が少し低かったり、それを見た勝利さんが一瞬口角をひきつらせた気がした。



“おっしゃー!着替えてきた!酒!飲みに行くぞ!!!”



しかし威勢良く戻ってきたメンバーのせいで確認する前にいつも通りのにこやかな笑みを浮かべていた。

なんか、打ち上げで一波乱ありそうだな…と根拠のない私の第六感がそう告げていた。

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カノープス - にこさん» にこさんありがとうございます!頑張っていこうと思いますのでのんびり読んでくださると嬉しいです…! (2021年5月7日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!すごくこれからの展開が楽しみです!応援してます!! (2021年5月4日 0時) (レス) id: fd9c2932e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カノープス | 作成日時:2021年4月7日 21時

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