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ダブルアンコールも無事終わり、興奮が冷めないメンバーと共に今日の良かったところなどを笑い合っていたら楽屋の扉がノックされる。
はーいどうぞーと返事すればうちのスタッフに促され部屋の中に入ってきた今日私が招待した二人。
あ、そういえば楽屋挨拶したいって言われてたこと忘れてた。
「今日はお招き頂いてありがとうございました。それなのに遅れてしまって…」
『いえいえ！こちらこそお忙しいのに時間を割いて下さってすみません…来てくださっただけで嬉しいです』
来て早々二人とも頭を下げようとしたから大慌てでそれを制す。
申し訳なさそうにしてはいるけど纏ってる雰囲気はきらきらしていて楽しんでくれたんだなと一安心した。
じとり、と背中に刺さる視線はメンバーの緊張半分、好奇心半分の“紹介しろ”というアイコンタクトで。メンバーと彼らは初対面だったことをそこで思い出した。
私が間に立って両者の軽い紹介をすれば風磨さんはたちまちうちのメンバーと話し出した。コミュニケーション能力、高すぎる。
「Aさん、お疲れ様です」
『勝利さん！楽しんでくれましたか？』
「…はい、それは、勿論」
静かに隣にきた勝利さんの言葉に感想を前のめりに聞いてしまったけど、優しく笑いながら返してくれた言葉に頬が緩む。
ふと、いつもなら真っ直ぐ目を見てお話ししてくれるのに今日は勝利さんと一度も目が合わない。
目があってもすぐ逸らされて、どうしてだろうと自分の状態を確認した瞬間、顔から血の気が引いた。
「あの、最後のきょ、」
『ああすみません！！この格好じゃ失礼ですよね！！』
「…え？」
『とりあえず着替えてきます！のでうちのメンバーも談笑して頂けたら！』
「あ、いや、そういうことじゃなくて、」
アンコールで着替えたグッズのTシャツは汗だくで、前髪や揺れる毛先は額や首筋にくっついている状態の私はお世辞にも良い状態ではなかった。
周りもそんな感じだから気にしてなかったけど全身コーディネートされた彼の前では不釣り合いだし、こんな化粧も溶けて髪もボサボサな状態を見られたくないと強く思ってしまった。
一刻でも早く視界から消えたくて何かを言いたそうな勝利さんを待たずに楽屋から逃げ出した。
「…ああもう、聞けなかった」
意を決して聞こうとした彼の決意は無駄になり、ため息と共にそう溢れたことを私は知らない。
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カノープス - にこさん» にこさんありがとうございます！頑張っていこうと思いますのでのんびり読んでくださると嬉しいです…！ (2021年5月7日 19時) (
レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！すごくこれからの展開が楽しみです！応援してます！！ (2021年5月4日 0時) (レス) id: fd9c2932e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カノープス | 作成日時：2021年4月7日 21時
