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本日は待ちに待ったライブ、そして彼らを招待したライブでもある。

いつものウォーミングアップをしていても落ち着かなくて楽屋を行ったり来たりしていた私をメンバーは笑い、特典映像を撮っていたスタッフさんにも珍しいねと言われる始末。

仕方がないじゃん、と尖らせ反論しかけた口は受信させたメッセージのおかげで役目をなくす。



“「すみません、仕事が押しててライブ生けるか怪しいです」”



きく、風磨さんからのメッセージは急いで打ったらしく漢字変換がおかしいところがあった。

それが尚更彼らの状況を語っていてさっきまでの慌ただしい感情が静かに沈んでいくのがわかった。



“A、そろそろ行くぞ”

『あ、うん!』



時刻を見れば舞台袖に控える時間。既読だけしか付けられず慌ただしくあとを追った。

ライブをし始めればそんなことは忘れたし熱気で蒸し暑いフロアに私の感情も上がっていく。

けれど、ふとした時に視界に入る二階席の片隅に胸は少し痛む。仕方がないと折り合いをつけても体は正直だなとちょっとだけ笑いがこぼれた。



『アンコールありがとうございます!嬉しいなぁ…そしてここで!重大発表を!よろしくお願いします!』

“いや俺がするんかい!!”



お決まりの茶番にフロアが沸き、メンバーにこれからの宣伝を任せてチューニングをしながら周りを見渡していた時だった。

視界の隅、二階の扉から光と共に現れた二つの影。それにドキリと心臓が波打った。

彼らだ。ステージの眩いライトと二階席の暗がりでよく分からないけど、それは確信に近かった。



“Aさん?話聞いてた?”

『…終わったの?』

“あ、これ聞いてないですね”



ドッと笑いが起き、まだ私が演者側だったことを思い出した。今回招待してるのは私達以外極秘なんだからバレないようにしないと。

けれど、どうしても気になってしまう。私達のファンだと話した彼らがどんな反応をするのか。

アンコールは二曲、熱狂的に駆け抜けるセトリにしたので会場はすぐに盛り上がる。

歌うことと弾くことに集中していた私は落ち着いた心でちらりと二階席を見上げる。

うわ、うわわ、



『……かわいい』



ぴょんぴょんとその場で飛び跳ね、私が見ていることに気付いたのか少し衝動を抑えたその姿は確実に、勝利さん。

きゅんきゅんと音を立てて止まらない胸は“もっと歌いたい”という心を更に加速させるのに十分だった。

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カノープス - にこさん» にこさんありがとうございます!頑張っていこうと思いますのでのんびり読んでくださると嬉しいです…! (2021年5月7日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!すごくこれからの展開が楽しみです!応援してます!! (2021年5月4日 0時) (レス) id: fd9c2932e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カノープス | 作成日時:2021年4月7日 21時

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